(株)ニッセイ基礎研究所は3日、東京のオフィスビル市況に関するレポートを発表した。
民間の調査機関のデータを基に、不動産投資の面から分析したもの。
2013年前半までの東京都心Aクラスビルの市況の低迷は“2012年問題”と呼ばれる東京都心部における大規模ビルの大量供給によるものに、リーマンショックや東日本大震災といった要因も加わり、市況はさらに悪化。11年第3四半期5.0%だった空室率は13年第2四半期には9.0%と、急速に悪化した。
しかし、賃料では12年第4四半期、空室率では13年第1四半期頃から回復傾向が見られ、特に12年1年間の需要増加面積は大量供給の供給増加面積を上回るほどに。
現在、Aクラスビルを中心に回復が明確となっているが、理由としては景気の回復によるテナント需要の拡大や13年の供給量の少なさによる需給改善、賃料下落による都心Aクラスビルの賃料の値ごろ感等が考えられとしており、12年に新築されたAクラスビルの多くは稼働率は9割を維持する状況にあると分析した。
一方で、東日本大震災後、テナントのビル選定基準が明確化。ビル間の需要に格差が生じてきており、オフィス投資では、これまで以上に物件ごとの競争力の見極める必要があると指摘している。