(一財)森記念財団都市戦略研究所はこのほど、「2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う我が国への経済波及効果」の試算結果を公表した。
東京都がすでに発表している東京オリンピック開催そのものに直接関係する事項とは別に、先例として12年ロンドンオリンピック開催に伴い発生した効果を加味し、さらに国民の消費の拡大や東京を主体とした都市づくりの進展、企業活動の活発化や雇用の増大等、経済活動全般が活発化するものとして、投資や所得の増加による需要増加額を算定したもの。産業連関表を用いて東京だけでなく日本全国に及ぶ経済波及効果を試算している。
オリンピック開催に伴う経済波及効果は約16兆4,000億円、東京都発表の約3兆円と合わせると約19兆3,000億円の経済波及効果があると試算した。粗付価値誘発額は、東京都発表と合わせると約10兆円、年換算では約1兆4,000億円となり、日本政府の経済成長目標2.0%をさらに0.3%程度押し上げる効果が期待できると分析。経済波及効果に伴い、20年までに全国で延べ約121万人、年平均で約17万人の新たな雇用が創出されると想定した。
また、日本の持続的な経済成長には、オリンピック開催を契機に活発化する経済活動に伴う雇用創出に対応した労働市場政策が必要となること、オリンピック開催直後の経済の落ち込みを防止するため、新たな需要創出につながるイノベーションを生み出すための規制改革が必要であると提言している。