国土交通省は21日、「平成25年度不動産価格指数(住宅・商業用不動産)の整備に関する研究会」(座長:清水千弘麗澤大学経済学部教授)の第1回を開催した。
2011年にIMF(国際通貨基金)やEurostat(欧州委員会統計局)を中心に不動産価格指数(住宅)の整備に関する国際指針(Residential Property Price Indices Handbook)が作成された。これに伴い、国土交通省を事務局に、日本銀行、金融庁、内閣府、総務省、法務省等と連携し、国際指針に基づく不動産価格指数(住宅)を開発、13年8月より試験運用を開始した。同研究会は、今後の本格的な運用開始に向け、試験運用の結果に基づく改善や、現在国際機関で作成が検討されている不動産価格指数(商業用)についての検討を目的としたもの。
住宅については、指数の公表の従来5ヵ月から3ヵ月への速報化、マンションの説明変数の追加、推計手法のインピュテーション法への変更、季節調整済系列の公表、過去10年分を新規追加した過去系列(東京都)の公表を行なうと報告した。また、流動性指標については、作成手法の指数について、取引件数、平均面積、合計面積の3種類を検討し、建物付土地と区分所有建物について、全国、地域ブロック、三大都市圏の系列で作成、月次で、取引から2ヵ月後に公表するとした。
委員から住宅書価格指数の推計手法の変更について、「国際ハンドブックで推奨しているとはいえ、大きく方法を変えることになるので、もっと慎重に考えた方が良いのでは」との意見が挙げられた。これに対し、次回の研究会までにそれぞれの手法のメリット、デメリットを精査し、検討する方向でまとまった。
商業用不動産については、昨年度までの検討経緯を踏まえ、今年度は速報版の作成については、取引から3ヵ月後に公表される速報版の指数を試作すること、データ件数の拡充についてはJREITの開示情報の活用の可能性について、ヘドニック法以外の価格指数推計手法の検討については、SPAR(Sale Proce Appraosal Ratio)法をJREITデータに適用し、価格指数の算出を行なうということについて検討していくと発表した。
座長の清水氏は、「住宅の住宅価格指数について、日本も各国に後れを取ることなくしっかりと取り組んでいる、ということを国際的に示していくことが大事である。また、さまざまなメリット、デメリットを把握して、長期的視点に立って検討していくことが必要である」などと総括した。