(株)矢野経済研究所は5日、「事業継続/防災ソリューション市場」に関する調査結果を発表した。事業継続/防災ソリューション提供事業者(IT事業者、通信事業者、コンサルティング事業者、シンクタンク)を対象に、同社専門研究員による面接、電話・Eメールによる取材等によるもの。調査期間は2013年10月~14年1月。
なお、本調査における防災ソリューションは、「防災行政無線システム」「消防指令システム」「総合防災システム」「災害情報管理・緊急速報システム」「安否確認サービス」の5つのサービスを指す。
調査によれば、11年3月の東日本大震災後、企業や団体において、事業継続/防災対策への取り組みが増加。11年度~13年度までの年平均成長率は4.4%と高い伸び率となった。企業規模では中堅・中小企業、業種では金融業以外でもBCP策定に取り組む企業が増えている。
また、災害などによる致命的なシステム障害から情報システムを復旧させる、または予防措置を行なうDRソリューションでは、クラウドを活用した災害対策が基幹系システムでも導入されるなど、利用の幅が広がっている。
14年度以降は、「時間の経過とともに災害に対する危機意識が薄れてきている」「主だった企業が対策を完了している」、また「クラウド型サービスの登場によるサービス単価の下落」などの理由で、同市場の伸びは鈍化していくと予測。ただし、すでに対策完了済の企業においても、新たなリスクに備えた取り組みが進み、行政による防災システムの見直し、高度化・高機能化が定期的に進むと見られることから、今後も需要が安定的に発生するとした。また、11~18年度までの年平均成長率は2.5%で推移し、18年度に事業者売上高ベースで2,234億円に達すると見ている。