(株)富士経済は17日、「2014年版 PPP事業に於ける公共施設O&M企業戦略総覧」を発表した。
政府・地方自治体と民間企業が連携して公共サービス等の提供を行なうPPP(Public-Private Partnership:官民連携パートナーシップ)事業について、「運転」「保守・点検」「修繕」等のO&M(オペレーション&メンテナンス)に焦点をあて、各社の事業戦略を分析し今後の方向性を示したもの。調査期間は13年10~12月で、同社専門調査員が対象に直接面接取材と電話ヒアリングを実施した。
先行してPPP事業のO&M市場に参入する40社の売上高合計は12年度で1,078億円。参入企業はメーカー系、メーカー系維持管理会社、維持管理専門会社、サービス提供会社の4つに大別される。
メーカー系ではハコモノ建設や設備導入、大型修繕へつなげるためのビジネスが中心となり、「庁舎・学校」、「プラント設備」など大型で案件数の多い施設への注力度が高くなる傾向がみられた。O&Mについては付随的な位置づけとなり、グループ企業であるメーカー系維持管理会社が担当するケースが多いとしている。
なお、維持管理専門会社のメインターゲットも「庁舎・学校」、「プラント設備」であることから、メーカー系維持管理会社とのコスト競争が激化傾向にあると分析している。
一方、サービス提供会社については、市民ホールや公民館などの「文化施設」、「図書館」、「スポーツ施設」などの運営管理に注力。規模の大きい施設は少ないものの、一般市民の利用が多いため、集客性を高めることで有料サービスの充実化による利益創出を見込む。同社は「公共・民間双方にメリットがあるため、今後の展開が注目される」とみている。
PPP事業O&M市場の全体市場は、12年度で1兆956億円。
既存施設に対してO&Mを行なう指定管理者制度は全国市町村レベルでの案件も多く、7,300億円と6割以上を占めた。指定管理者制度やPFIでは公共施設の維持管理や事業運営軒等も付与されているため、管理施設を利用した物販、飲食等のサービス提供も可能。年々O&Mの位置付けが高まっており、20年度には1兆3,250億円が予測される。