



ナイス(株)はこのほど、横浜市の「既存住宅のエコリノベーション事業」のモデル住戸(共同住宅、横浜市西区)を竣工、公開した。
同事業は、CO2排出量増加に伴い、省エネ型の住宅やライフスタイルの普及・定着が求められる中、既存住宅を環境性能や利便性の向上など、住宅の価値を高める改修を行なうモデル事業を推進し、広く普及することが目的。民間住宅市場におけるリノベーション事業の活性化につなげていく。
2013年6~8月に戸建ておよび共同住宅のリノベーションの企画提案について公募を実施。同社グループは共同住宅で最優秀賞を受賞した。
共同住宅リノベーションの対象住戸は、01年築、鉄筋コンクリート造地上11階建ての分譲マンション(総戸数64戸)の1住戸。専有面積51.86平方メートル。間取りは従前が2LDK、改修後が1LDK+土間。築年数はさほど経過していないが、立地や条件などモデル住戸として適しているとして選定した。
リノベーションでは、開口部の熱損失、熱橋部の結露といった問題を解消するため、アクティブとパッシブデザインを有効に導入。エネルギーを有効活用するために、高効率給湯器、六面断熱、インナーサッシ、ウィンドウフィルムを導入。水回りも省エネ型設備に刷新。スマホなどを通じて内容確認や操作ができるクラウド型HEMSも採用している。
自然の力を取り入れる手法として、バルコニー用保水タイル、グリーンカーテン、“欄間”付き建具、珪藻土などを採用。自然エネルギーを有効に取り入れることで、消費エネルギー削減につなげる。また、木質パネルやフローリングは林野庁の木材利用ポイント対象のものを選択した。
加えて、横浜ならではアクセントとして、「横濱レンガ」を使った飾り棚、「横濱シルク」を使ったインテリアを取り入れている。
また、玄関前にあった居室は土間スペースに変更。「半プライベート・半パブリックな空間として、趣味のスペースや他居住者との交流スペースをイメージしている。エコリノベーションを外部に発信できる場になれば」(同社事業開発本部パワーホーム事業部・三枝果林氏)という。
なお、ターゲットにはアクティブシニアを想定しているが、将来的に居住者が変わった際に最小限のリフォームで間取りが変更できるうよう、あらかじめ部材を埋め込んでいる。「長く使えるよう、土間を居室に変更するなど入居者の世帯構成によって変更が容易にできるようにしました」(ナイスユニテック(株)リナイス課副主事・山田能久氏)。総工費は約700万円。
現在、所有者である横浜地所(株)よりナイスが借り上げており、定借で貸し出す予定。入居者にはモニタリング等の協力を依頼する。現時点でDINKS、単身者などに反響を得ているという。賃料は10~11万円を予定。4月まで公開し、5月より入居開始を予定している。