シービーアールイー(株)(CBRE)は24日、2014年第1四半期の全国13都市の賃貸オフィスビル市場動向を発表した。
東京のグレードAビルは、空室率は4.7%(前期比2.4ポイント低下)と大幅に改善した。新築ビル1棟がほぼ満室で竣工、昨年竣工したビルでリーシングが進んだことに加え、丸の内などの既存ビルで大きく空室が消化されたことがその要因。想定成約賃料も、1坪当たり3万800円(同0.5%上昇)となった。
東京23区全体でも空室率は5.1%(同1.1ポイント低下)に。業容拡大や立地改善など積極的な移転理由が多く、デパート関連企業やアパレルなどBtoCの消費者向けテナントが活発な傾向にあった。
大阪では、1万坪を超えるまとまった新規供給があったにもかかわらず、グレードAビルの空室率は10.4%(同1.8ポイント低下)となった。想定成約賃料は、新築ビルがサンプルに加わったことにより1坪当たり1万9,000円(同1.1%上昇)。
大阪市の空室率も7.9%(同0.9ポイント低下)となった。昨年までは大手企業の大型移転が目立ったが、今期は中堅企業が1フロア単位で移転するケースも増えており、需要の裾野が拡大してきている。
名古屋では、グレードAビルの空室率は3.4%(同0.6ポイント低下)、想定成約賃料は、1坪当たり2万1,450円(同1.4%下落)となった。名古屋市全体の空室率は8.1%(同0.9ポイント低下)で、立地や設備水準など、オフィス環境の改善を動機とした移転需要により、3四半期ぶりに改善に転じた。
全国の市況では、調査対象13都市のうち12都市で空室率が改善。さらにうち4都市(金沢、福岡など)では前期比での低下幅が1ポイントを上回っている。立地・設備などオフィス環境の改善を目的とする移転に加え、新規開設や拡張移転などの積極的な移転が増える傾向にある。また、想定成約賃料でみた場合、横浜、さいたまのほか、仙台や広島など一部の地方都市でも賃料は底打ちの兆しを見せている。東京を含め、企業の業容拡大や新規進出を背景としたオフィスニーズが増加している一方、受け皿となるスペースが希少になりつつあると同社は分析している。
なお、東京・大阪・名古屋のグレードAビルについては以前より想定成約賃料で賃料集計を実施していたが、今期よりその他都市のオールグレードビルについても、従前の募集賃料から想定成約賃料に変更した。また、投資家やテナントに対する訴求力を高めるため、オフィスビルの測定基準も見直し、調査対象をこれまでの「延床面積500坪以上」から「延床面積1,000坪以上かつ新耐震基準以降」に見直した。
さらに、都市およびサブマーケットについても、これまでの57都市183ゾーンから、札幌、仙台、さいたま、横浜、金沢など不動産投資市場性の高い13都市にフォーカスし、サブマーケットは東京、大阪、名古屋、横浜に限定した。