積水化学工業(株)は28日、今年度を初年度とする2016年3月期までの中期3ヵ年計画を発表した。2020年以降を見据えた、企業としての長期的な社会貢献の拡大を目指すための第一歩として位置付ける。
リフォームや住資産マネジメント、インフラストック、海外水インフラなど8分野を成長分野としてより集中的に投資していくことを明らかにした。コアビジネスの強化や新ビジネスの育成なども積極的に行ない、最終年度の売上高1兆2,500億円(13年3月期比12.5%増)、営業利益1,000億円(同21.1%増)を目標とする
住宅カンパニーについては、プレジデントの関口俊一氏が、前中期計画の成果としてスマートハウス戦略や住環境事業が事業の柱の一つに成長したことなどを挙げた。14年からの3ヵ年は持ち家の新設住宅着工が激減し、大工や職人不足もより一層深刻化するなど、新中期計画では外部環境が急変するターニングポイントとみる。
そこで「次の10年」に向けた持続的な成長を目指したビジネスモデルの進化に取り組み、消費増税後の市場を勝ち抜くことを方針として掲げた。最終年度のカンパニー売上高5,500億円(同10.7%増)、営業利益500億円(同21.4%増)を目指す。
この4月から従来住環境事業としてひとくくりにしていた「リフォーム」「不動産」「住生活サービス」をそれぞれ個別の事業として位置付け、「住宅」「海外」と合わせた5事業でそれぞれ個別に戦略を打ち出す。主力の住宅事業については、縮小市場の中でスマートハウス市場でのトップシェアを目指すほか、工場生産化率を高めて現場施工を最小化することで大工職人不足に対応、品質のアップとコストダウンの両立を図る。
成長エンジンはリフォームと不動産事業。リフォームでは、約20万件におよぶ築16~25年のリフォーム適期のOB顧客へのアプローチを強化して需要の掘り起こす。また、水回りや内部改装に加えて太陽光発電と蓄電池などを後付するスマートリフォームなど提案力強化による大型受注の取り込みも図る。
不動産事業では賃貸管理や中古流通といった分野を強化するのに加え、サービス付き高齢者向け住宅の建築請負だけでなく運営も含めた展開によって顧客のライフステージ全体を通じたサービスを提供。関口氏は「リフォームの履歴なども残しておくことで、将来的な中古流通の強化にもつながる」と期待を寄せる。