不動産ニュース / 政策・制度

2014/6/4

重説・書面交付のIT化、推進派・慎重派が真っ向から対立/国交省

 国土交通省は3日、「ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」(座長:中川雅之日本大学経済学部教授)の第2回会合を開き、重説や契約書面交付のIT化の推進を唱える(一社)新経済連盟、(公財)日本賃貸住宅管理協会(日管協)、反対に慎重な姿勢を採る(公社)全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)、(一社)不動産流通経営協会(FRK)が、それぞれ意見を述べた。

 インターネットを活用した重説の全面解禁を唱える新経済連盟は、「不動産トラブルは事業者のモラルに原因があり、説明手段とは関係ない」「メールやチャットでの説明であれば証拠が残るため、トラブル防止につながる」「情報のやり取りをインターネットで記録することができるので、なりすましは対面以上に行ないにくい」「インターネットの活用は、希望者のみが行なう制度」などとして、慎重派の指摘に対抗。事業者へのアンケート結果でのIT活用への取り組み意向が7割を超えていること、消費者アンケートでも重説のIT化を8割が望んでいることなどを指摘。IT化により海外など遠隔地の不動産取引等が増えることで、2,200億円の経済効果が見込まれるとした。
 日管協も、インターネットがあらゆる経済活動に浸透していることから、積極的活用を訴えた。

 これに対し全宅連は、傘下の宅建協会へのヒアリングで「不動産関連トラブルの大半が重説に関する理解不足で、IT化によりトラブル・苦情相談が増える」「電磁的書面は説明不足になる可能性が高い」「電磁的書面は改ざんが可能」などの意見が得られたことを踏まえ、宅建主任者のなりすましの横行、説明責任に関するリスク増加への懸念、一般消費者への理解浸透の確保、本人確認(顧客のなりすまし)などの問題から、「足早な規制緩和は適当でない」とした。
 FRKも、独自に実施した実験により、主任者証が判読しづらい、個人情報が保存されてしまう、長時間の説明には不適という結果が得られたことを踏まえ、ITを活用した重要事項説明等は「高画質で双方向通信が可能なテレビ電話や顧客・事業者双方に電子署名・認証システムが広く普及した時点で検討すべき」と主張した。

 また、今回の会合では、同省が行なった実証実験結果も明らかにされた。Skypeを使い非対面で行なった重要事項説明と、従来型の対面による重要事項説明とで、内容の理解度やコミュニケーションの取りやすさ、ストレス等を比較した。その結果、非対面の重説において、主任者証や図面が見づらい、声が聞き取りづらい、相手の表情が見られない、疲れるなどの指摘が一部であったものの、内容の理解度テストでは、大きな違いがなく、大きな問題はなかったと結論づけた。

 同省は、今回の議論を踏まえ、次回会合で中間とりまとめ案を示す予定。

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