(株)ヤマダ・エスバイエルホームは、日本工学院専門学校などを運営する学校法人片柳学園と共同で、ヒトの指の血流パターンを読み取って個人を特定する「血流認証システム」を使った次世代住宅制御システムを研究・開発する。
血流認証システムは、バイオニクス(株)(大阪市中央区、代表取締役社長:須下幸三氏)が10年以上にわたり構築してきたシステムを採用。指紋認証や虹彩認証とは異なり、ヒトの体内の器官を使うため、偽造が難しく、銀行や製薬会社など高度なセキュリティが求められる場所の入退館管理に使われている。マンションでも、60棟・約9000世帯の利用実績がある。
今回開発するのは、入退館管理だけにとどまらず、家電や住宅設備も含め住宅全体を制御するシステム。認証システムとHEMSを連動し、家族の誰かが帰宅した際、その人物がよく使う部屋の照明や空調を自動的に起動する。子供が帰宅した際、子供部屋やリビングの照明を点灯し、子供の帰宅を親にメールで知らせる、あるいはガスコンロなど子供が使うと危険なものについては使えなくするといった制御もできる。
ヤマダエスバイエルホーム執行役員設計技術統括部副統括部長の藤本和典氏は「これまでも、『誰かが』帰宅したときに家電を動かすシステムはあったが、『誰が』帰宅したかを特定して、それに合わせて制御するシステムはなかった。住宅の安心・安全、利便性、環境負荷軽減などに役立つだろう」と話す。バイオニクスの須下氏は「生体認証による個人特定と、それに合わせた住宅の制御システムはおそらく世界初ではないか」とした。
年内をめどにガス機器の制御など一部の機能の開発を終える見込み。今後、電機メーカーなどとの連携も進めることで、機能を拡張していく。新築戸建てやリフォーム、賃貸住宅など幅広く販売する計画。価格については30万円前後を想定する。