ジョーンズ ラング ラサール(株)(JLL)は3日、同社でとりまとめたレポート「大阪Aグレードオフィス市場」を発表した。大阪のAグレードオフィスビルの賃貸・売買市場の動向や今後の見通しについてまとめたもの。
大阪のAグレードオフィス賃料は、金融危機と大量供給懸念によって2009年以降、04年のボトムを下回る状況が続いていたが、13年の大量供給の消化が進み始めており、14年第2四半期時点では底値圏を迎える結果となった。
今後、前回の水準まで賃料が回復した場合は、10%超の賃料上昇が期待でき、他の主要都市と同様に8割程度まで回復すれば30%程度の賃料上昇余地があるとした。
売買市場については、13年より東京以外の主要都市への投資が波及したことから、同年の大阪の取引総額は5,400億円(前年比134%増)に回復。大阪はGDPの規模でみると、東京の2分の1~3分の1程度を期待できる市場であることから、東京の不動産市場を鑑み、13年は1兆~1兆5,000万円の規模を有する可能性があると指摘。賃料回復とともに不動産取引も活発化すると予測している。
さらに、大阪のGDPがシンガポールや香港を上回っているにもかかわらず取引額が半分以下であることについては、こうしたアジアの主要都市並みに市場整備や不動産透明度が改善されれば、年間3兆円規模の投資を呼び込む可能性があると見込んでいる。
同社リサーチ本部シニアマネージャーの大東雄人氏は「大阪市場は現在の割安な賃料水準とそのポテンシャルからさらなる市場の活性化が期待され、世界的にも数少ない上昇予定を残した市場の一つ」とコメントしている。