(公社)全日本不動産協会埼玉県本部は11日、大宮ソニックシティ(さいたま市大宮区)で、「消費者のための不動産セミナー」を開催、約390名が参加した。
開催に先立ち、埼玉県本部本部長の菊田邦彦氏は「不動産業は地域に密着した仕事が一番重要。団体としても地域貢献活動を推進するとともに、地域住民の皆さまに団体への理解を深めていただくために、このような不動産セミナーを通じて、団体がどのような活動、研修等を行なっているかを伝えていきたい」と挨拶。また宅建主任者の資格名称が「宅地建物取引士」に変わることについて、「消費者の皆さまに恥ずかしくない仕事をするために、弁護士、会計士など仕業と同じようにレベルアップをしていく必要がある」などと語った。
続いて(公社)全日本不動産協会理事長の林 直清氏が挨拶。同氏は団体の発足経緯や中古住宅市場活性化に絡めアメリカの不動産実務や実態について語った。
講演では今回は、振込詐欺や不動産取引の注意点、相続税増税などをテーマに企画。まずはじめに、埼玉県県民生活部防犯・交通安全課主幹の坂田 浩氏が振込詐欺対策について、昨年より県内の被害が急増し、今年は1,000件、被害金額30億突破の恐れがある現状について説明。また14年8月に全日本不動産協会埼玉県本部、埼玉県、埼玉県警察による被害防止のための連携・協力に関する3者協定が締結したことなどを報告した。
続いて埼玉県都市整備部建築安全課主幹の高山 みどり氏が「相談事例から見る不動産取引の注意点」をテーマに講演。消費者からの相談の中でも多い、媒介報酬や売買契約における契約後の解約についての事例などについて紹介。併せてネットの普及による取引形態の変化など昨今の状況を絡めて不動産売買における一般的な取引の流れや媒介契約の種類について解説した。
その後、税理士法人江本&パートナーズの中沢貞則氏が「相続税の増税に伴う対応について」をテーマに講演。増税の内容やその影響、大幅節税になる「小規模居住用宅地の評価減の特例」の適用要件について具体例を挙げて解説。さらに、2世帯住宅のケースや老人ホームに入居している場合、一般的な相続税対策における注意点などを分かりやすく説明した。
最後に、元読売テレビ解説委員長の辛坊治郎氏が「ニュースの裏側 ~これからの日本の経済~」をテーマに、経済学者や自身の株価・為替の予想の当たり状況や、政府や日銀の景気をよくする施策などについて、時に笑いを交えながら軽妙な語り口で講演。現在の経済状況については、アベノミクスとアメリカで実施されているQE3(量的金融緩和政策の第3弾)と呼ばれる前代未聞の金融緩和政策との関係を、出口戦略と訳される「テーパリング」という経済用語を用いて分かりやすく解説。さらに、昨年遭遇したヨット遭難事故について、緊迫感のある救助の模様などエピソードも披露し、会場を大いに沸かせた。