不動産ニュース / 政策・制度

2014/10/1

「重説のIT化」、社会実験実施を新たに提案/国交省

 国土交通省は1日、「第4回 ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」(座長:中川雅之日本大学経済学部教授)を開催した。

 会合では、7月に発表した中間とりまとめについての意見募集結果を報告。最終とりまとめに向けた検討の方向性について提案を行なった。中間とりまとめについての意見募集は7月23日から8月22日に実施し、結果は回答82件、意見302件が寄せられた。これらを意見提出者の類型ごとに「都道府県」「消費者団体等」「不動産関連団体」「不動産事業者」「その他法人」「個人」に分類し整理した。

 「ITを活用した重要事項説明(以下「IT重説」)」について、都道府県、消費者団体等、不動産関連団体では、「消費者や事業者の同意に基づいて行なわれるべき」「主任者のなりすまし等によるトラブルの増加が懸念される」「取引類型の一部から段階的に試行し、検証を行なうべき」等の意見が多く慎重派が多数を占めたのに対し、不動産事業者、その他法人、個人では、「対面の場合と比べ、重要事項説明の理解度に差はない」「記録を残すことで、消費者の理解度向上やトラブル防止に寄与できる」「対面と比べて重要事項に関する理解度が向上することが期待できる」といった推進的意見が多かった。

 同省は、今後の議論を「重要事項説明等に係るITの活用方策に的を絞る」こととし、IT重説は強制ではなく、取引当事者の選択にゆだねられるものという点に留意しつつ検討を進めていくとし、12月の最終とりまとめの後、1年から2年の期間を設け、IT重説を希望する事業者および取引主任者を登録した上で賃貸契約、法人間取引に限った社会実験を行ない、その効果や事後的なトラブルの発生状況等を検証してはどうかとの提案を行なった。

 同実験では、消費者にIT重説に関する同意確認書と重要事項説明書を事前に送付、ITツールを用いて主任者証の提示や重要事項説明を行なう。すべてのやりとりを録画し、実験・検証期間中保存、契約締結の一定期間後に消費者にアンケート調査を行なう。

 これに対し委員からは「2年というが、ITの世界では10年くらいに匹敵。慎重すぎる」「登録事業者数を制限する根拠はなにか」「重説の間中スカイプの画面を見ているのは消費者にとって苦痛では」「まず、重説書面の統一化を図ることが重要」「個人情報をどう保護するのか」、「賃貸契約は金額的には小さいかもしれないが、長い契約関係もあり、決して軽微な取引ではない」などの意見が出され、次回会合までに再検討することになった。

 併せて国交省からは、次の宅地建物取引業法改正のタイミングで、電磁的方法による書面の交付を位置づけるとともに、電子署名の利用に当たっての留意点などについてガイドラインを作成してはどうかとの方向性も示された。

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