国土交通省は24日、「安心居住政策研究会」(座長:中川雅之日本大学経済学部教授)の第4回会合を、全国町村会館(東京都千代田区)で開催した。
本格的な人口減少・少子高齢化社会を迎える中、さまざまな世帯の安心な居住の確保に向けた目指すべき方向性と対策を検討するのが目的。大学教授7名の委員と7つの関係団体で構成され、今回は外部有識者として、阪井土地開発(株)代表取締役の阪井 ひとみ氏と、認定NPO法人ぱれっと えびす・ぱれっとホーム施設長の菅原睦子氏からヒアリングを行なった。
阪井氏は、約18年前から始めた「社会的弱者の入居支援」について、社会的弱者を取り巻く現状や入居支援活動のきっかけを述べ、これまでに行なってきた具体的な取り組みを紹介。公的住宅入居の際のハードルの高さや、空き家活用の可能性について語った。
菅原氏は、障害者と健常者が共に暮らす「いこっと」の運営について説明。さまざまなサポートシステムの構築が必要であること、他団体に広げ定着を図ることなど、今後の展望について話し、障害者の暮らしの選択肢を広げることの必要性を強調した。
事務局からは、障害者の安心した住まいの確保のためには、入居から地域の中での生き生きとした生活や活動を行なえるような支援まで、包括的なサポートが必要であると、今後の取り組みにおける課題と方向性を整理。一方で、新規供給に一定の限界がある中、既存の民間賃貸住宅への入居円滑化を図ることも重要であるとし、その場合には賃貸人が安心して障害者を受け入れられるような取り組みも必要であると提案した。また、居住支援協議会が持つ住まいの相談窓口と、自立支援協議会を核とした相談支援事業が連携し、入居支援体制を構築することも効果的であると述べた。
同会では今後、第1~4回で出された意見等を踏まえ、2015年度以降に取り組むべき対策について意見交換を行ない、15年2~3月頃に中間とりまとめを実施する予定。