(株)帝国データバンク(TDB)は16日、2015年度「賃金動向に関する企業の意識調査」結果を発表した。調査対象は全国2万3,402社で、有効回答企業数は1万794社(回答率46.1%)。毎年1月に調査を実施しており、今回で10回目。調査期間は1月19~31日。
それによると、15年度の賃金改善を「ある」と見込む企業は48.3%。前年度見込みを1.9ポイント上回り、06年1月の調査開始以降で最高の見通しとなった。業界別にみると、「建設」(51.2%)が5割超。震災復興や東京五輪などで人手不足の状況が継続し、労働需給がひっ迫する中、2年連続で最高となった。また、全体は下回っているものの、「不動産」(43.5%)、「運輸・倉庫」(46.6%)は、「良い人材の取り合い」「業績改善と人手不足」などを背景に、前年の見通しと比較して大きく増加した。
一方、14年度に賃金改善の「あった」企業は6割超。消費税率引き上げによる影響が不透明な中、多数の企業が賃金改善を実施していたことが分かった。
15年度の賃金改善の具体的内容は、「ベースアップ」(36.7%)が前回調査(14年度見込み)と比べ2.7ポイント増加。「賞与(一時金)」(27.4%)が0.4ポイント減少していることから、賃金改善をベアで実施する企業が広がっているとしている。
賃金を改善する理由については、「労働力の定着・確保」(68.0%)が大幅に増加。改善しない理由は、「自社の業績低迷」(65.3%)が最多となった。
また、15年度の総人件費は平均2.50%増加する見込み。従業員の給与や賞与は、総額で約3兆2,000億円増加と試算している。