不動産ニュース / その他

2015/3/2

空き家利活用促進の成功要件は、「物件発掘」「サポートコンサル」/RETIO

 (一財)不動産適正取引推進機構(RETIO)はこのほど、「第八回不動産再生研究会」(2014年12月実施)の議事概要を公表した。

 同研究会は、喫緊の課題となっている不動産の再生をテーマに、有識者からのヒアリングを通じて、不動産再生を妨げる諸問題およびその改善策等について検討し、広く発信するのを目的に14年1月に設置。月約1回のペースで開催している。

 今回は、(株)富士通総研経済研究所・上席主任研究員の米山秀隆氏が、「急増する空き家とこれからのまちづくり」をテーマに、「空き家の実態」や「空き家発生に伴う問題」、危険なもの、まだ使えるものについての利活用促進策としての「空き家対策」、同対策連動した「まちづくり」について説明、意見交換が行なわれた。

 「空き家の実態」では、空き屋の内訳として「売却用の住宅」「賃貸用の住宅」「二次的住宅」「その他の住宅」の4類型を挙げ、全820万戸の空き家のうち、現在問題になっているのが318万戸・38.8%の「その他の住宅」(賃貸・売買用ではなく、そのまま放置されているような空き家)であり、地方ではこの比率が46%と高ことなどを挙げた。

 「空き家発生に伴う問題」では、最近、空き家発生に伴う問題(雑草や枝の伸びなどで迷惑を被ること)が、将来的に発生することを懸念した住民からの相談が増加傾向にあることなどを報告した。

 「空き家対策」では、施策として「撤去促進策」と「利活用促進策」があり、撤去促進では14年4月時点で計600近い自治体が条例づくり等の対応を考えている。そうした動きが全国的に広がったことで、このほど条例では定めにくいものを定めた空き家対策特別措置法が成立した。こうした条例は一定の効果が上がっているが、最終的に代執行まで行くケースもあり、費用の回収が問題となるケースなど、各自治体の事例を挙げて解説。さらに、約20年後には分譲マンションで建て替えもできず解体費も捻出できないといった問題が深刻化すると予測した。
 利活用促進策としては、空き家バンクを通じた成約件数が多い長野県佐久市等、各事例を紹介。成功の要件として「物件発掘」、生活や仕事の相談、移住後のケア等を含めた「サポートコンサルティング」、「補助金」などのインセンティブを上げ、エリアを限定しない人向けに地域の魅力をきちんと発信することが重要などと分析した。

 「まちづくり」では、富山県富山市や島根県松江市の事例を紹介し、空き家対策とまちづくりを連動させる重要性を指摘。、近い将来、財政的な面からその方法が絞り込まれる方向にあることから、現状はいろいろな施策を試す段階とした。

 議事詳細については、同機構ホームページ参照。

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