分譲マンション事業の総合コンサルティングを手掛ける(株)トータルブレイン(東京都港区、代表取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、2014年のマンション市場を振り返りながら、15年の同市場を予測したレポートを発表した。
同レポートでは、14年のマンション市場を(1)供給戸数は23区を筆頭に大幅減。在庫も増加、(2)分譲価格・単価は、直近の2年間で10%以上上昇、(3)売れ行きはエリア・立地による二極化が進行、(4)好立地・高単価の売れ行き好調物件が増加。駅距離のウエイトが高まる、(5)用地仕入れは大苦戦、建築費はさらに上昇、(6)大手ディベロッパーの寡占化はますます進行、などと分析。「建築費の高騰で建物比率の高い郊外部での供給が難しくなり、ターゲットが郊外子育てファミリー層から資金力のあるアッパー層に変化するなど、事業環境の変化に合わせ供給商品のラインアップが大きく変化した1年」とした。
一方、15年のマンション市場は、郊外を中心に着工減少が予想されるが、売れ行きが良ければ、供給戸数は前年並みの4万3,000戸台、売れ行きが悪ければ4万戸前後となると予測。引き続き、駅近立地が最大のテーマとなり、エリア選定においても沿線力・駅力をより重視する必要を示唆。今の低金利が積極的に活かせるマインドの高い高所得者層をメインターゲットとし、沿線力・駅力・駅近の好立地については規格外の価格設定も可能とした。逆に郊外は、パワービルダーの建売住宅在庫が積み上がり価格改定して販売される可能性や、ターゲットのマインドが上がらないことなどから、もう一段事業が厳しくなるとした。
また、商品企画については、建築費の高騰を抑えるためのグロス圧縮を重要視しながら、仕様設備はグレードを落とさずに、グレード感とデザイン性で購入意欲を喚起すべきとした。郊外物件については、地元マーケットの掘り起しを重視し、小規模物件は販管費を抑えるために完成販売を基本とすることなどを提案した。
その上で、ディベロッパーはレギュラーの分譲マンション事業に加え、リノベーション事業、買取再販事業、シニア住宅事業、収益物件事業など「やれることは何でもやる」姿勢が大事と強調。金融緩和、低金利、相続税制改正、円安、株高などを背景に「不動産市場の主役は収益物件」とした。一方で、分譲マンションのメインターゲットとなるアッパーサラリーマン層・共稼ぎ層、シニア層等も「利便性」と「資産性」を重視する点で、投資家層と共通の検討条件であることから、このポイントを外さない事業構築が必要と結んでいる。