(公財)日本賃貸住宅管理協会はこのほど、2014年度下期(14年10月~15年3月)の賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」を発表した。入居率、来店数、成約件数、滞納率など全21項目について、同協会会員へのアンケートをもとに業況判断指数(DI値)を算出。今回は195社から回答を得た。
14年度下期総合DIは、前年同期と比べ横ばいか下降傾向が鮮明で、賃貸環境が予想以上に厳しい現実が浮き彫りとなった。成約賃料DIは依然としてマイナス水準。成約件数DIもマイナスとなっており、売り上げも全体的に減少傾向で推移した。同協会では、「年度前半の消費税率アップによる消費マインドの停滞や空室率の上昇、それに伴う借り手市場の拡大によって市場が厳しさを増している」と分析。
反響効果では、ポータルサイトが断然高いものの、自社ホームページについても、各社とも工夫して注力している状況がうかがえた。IT関連項目の数値が高い傾向は時流だが、中でも関西圏で看板(店頭チラシ含む)の数値が高いことが特徴的。
平均居住期間については、高齢者の長期居住化の割合が関西圏を中心に伸びている。その理由については、住み替えを嫌い、現状維持の生活を志向する高齢者が多い現状に起因しているとした。
一時金・家賃保証事業者利用では、礼金の取得月数の下落傾向が一段と進んだ。この傾向は、「空室物件の増加に伴い、首都圏・関西圏における入居促進策として、礼金なし物件が増加していることに起因している」と分析。また、家賃保証事業者の利用率は、首都圏では若干落ちたものの、全体で89%となった。
また、向こう3年の賃貸事業の困難度では、64.2%がますます「困難」「やや困難」になると回答。現状の厳しい状態から「変わらない」という回答33.2%を含めると、「今後はまさに、市場での生き残りをかけた熾烈な競争になる」とみている。
詳細については、同協会ホームページを参照。