国土交通省は10日、2015年度の第1回「不動産証券化手法等による公的不動産(PRE)の活用のあり方に関する検討会」(座長:日本大学経済学部教授・中川雅之氏)を開催した。
同研究会は、地方自治体が不動産証券化手法等を活用して公的不動産の有効活用を進める道筋を示すことを目的に14年9月に設立。委員には金融機関、地方自治体、シンクタンク、大学、不動産業界団体などが参加。オブザーバーとして、内閣府、財務省、総務省、金融庁などが参加している。昨年度の検討会では不動産証券化手法等による公的不動産の活用事例の把握や各事例における課題について検討。その成果として15年5月22日に「公的不動産(PRE)の活用事例集」を発表した。
今年度は年度末の手引書(ガイドライン)公表を目的に議論を進めるほか、「不動産証券化手法等によりPRE活用に関するモデル団体支援事業」を行なっていく。
第1回では昨年度の検討内容を踏まえ、事務局から手引書の骨子案を発表。民間の資金およびノウハウを積極的に導入していくこと(PPP×PRE)を前提に、具体的なPRE活用において想定される課題に焦点を当て、PRE活用を検討・実施するうえで障壁となりやすいポイントや具体的な対応策を、事業化のプロセスに沿って示していくとした。また、いわゆる「証券化」だけでなく「借地権の譲渡」「SPCの株式譲渡」など、小口化が伴わない流動化の可能性も含めるほか、これまで同省等が発表してきたPRE関連の情報を盛り込むなど広義なPRE活用の情報を記載する方針。
委員からは「PREに不安のある担当者が読みたいと思わせる、わかりやすい内容にすべき」「具体的フェーズの前段階でとどまっている地方自治体も多いことから、現在のポジショニングが確認できる資料が必要」「地方自治体だけでなくいろいろなプレーヤーが情報共有するときに役立つ資料とすべき」「リスク情報を明確化すべき」といった意見が挙がった。
また、モデル団体募集および採択はすでに終わっており(詳細は7月6日付けのニュース参照)、今後の検討会でその活動報告を受けて、その内容も手引書に反映していく方針。
第2回(10~11月)で民間事業者等からのヒアリング等を行ない、第3回(16年2~3月)に手引書案を示したうえで、3月に手引書の公表を予定している。