今年4月、東急不動産ホールディングス(株)の社長に就任した大隈郁仁氏が23日記者会見し、今後の事業方針などについて語った。
会見で大隈氏は「ホールディングス制の導入により、傘下の東急不動産、東急リバブル、東急コミュニティーが胸襟を開いて話し合う機会が増えた。当グループは、ビルや分譲住宅の開発から小売、ホテル、シニア住宅まで幅広い職場で、3万人の人材が働いているのが強み。それぞれが各分野の専門家だが、それら専門家が持っている情報をグループで共有して、今後の成長が見込める分野での事業やサービスにカスタマイズしていくのが理想的だ。そのための情報共有を図るプラットフォームを、グループ社員の間で作り上げていく」と抱負を語った。
主力の都市事業(ビル)、住宅事業については「都市事業への継続的な投資は必要だが、目線に合う案件が減っている。当社は、渋谷エリア、銀座エリア、竹芝エリアで2,000億円規模の投資を行なっており、これらエリアの5プロジェクトが2020年までに竣工する。これらのプロジェクトをうまく着地させ各エリアの価値を高め、収益性を高めることで、1つ上のステージに行けると考えている」と語った。また住宅事業も「開発用地の取得には苦労している。いずれボディブローのように効いてくる心配はあるが、過去には無理して仕入れた案件での失敗も多い。三大都市圏プラス札幌の都心型案件という枠を守り、年間供給戸数3,000戸を目指す」とした。
その他事業については「ストック(仲介・管理・リフォーム)」「ウェルネス(シニア・会員制リゾート・ホテル・フィットネスなど)」を成長期待事業として挙げる。「中古ストックは増大を続けるのは間違いない。空き家、相続、仲介とリフォームのワンストップサービスといったメニュー作りを進めていく。シニアビジネスは長く住んでもらうほど利益が小さくなるが、社会の課題を解決する一端を担う意味は大きい。グループ社員もポジティブに考えている」(大隈氏)。
また、海外事業については、アメリカとインドネシアを重点に投資を進めていく。「ニューヨークはほとんど新築物件が出てこないが、そうした中で再開発に関わることができた。以前から、ドル建て資産へポートフォリオを組み替えていく必要性を感じている。次期中計には、海外資産比率を盛り込む方針だ」などと語った。