国土交通省は29日、「免震材料に関する第三者委員会」の第7回委員会を開催。報告書(案)をとりまとめ公表した。
同委員会は、東洋ゴム工業(株)による免震材料の不正事案を受け、安全性の検証、原因の究明や、再発防止策等について専門的見地から検討し、国土交通省への提言を行なうことを目的に、3月31日設置したもの。
報告書(案)は、免震材料の不正事案に係る判明事実と発生原因についてや、第三委員会としての提言などが盛り込まれた。
提言は、大臣認定制度の見直しを含む再発防止策(案)と東洋ゴム工業への今後の対応(案)についてなされたもの。再発防止策の大臣認定の見直しについては、生命の安全性に係るものを特に見直しの対象とし、基本方針として(1)安全性に直結する種類の製品かどうか、(2)市場で検証がなされない製品がどうか、(3)過去に不正を行った企業かどうか、によってチェックの程度を変えて実施することを掲げた。見直しの対象となるのは、免震材料等の指定建築材料、大臣認定を必要とする特殊な構造方法である木造の壁の強度や鋼材の接合方法等、「安全性に直結しない種類の製品」「市場で検証がなされる製品」等を除く大臣認定品とした。
また、免震材料について講ずる対策としては、認定段階における「指定性能評価機関による審査の強化」などを挙げ、過去に不正を行った企業に対する重点的なチェックを行なうとしている。
東洋ゴム工業への今後の対応としては、当初55棟の免震材料(G0.39)については「全ての免震材料を交換」「交換改修用も含め、現行の大臣認定に基づく免震材料の今後の製造は認めない」とした。残りの99棟(G0.39以外)については「大臣認定基準不適合の免震材料は全て交換」「今後必要となる交換改修用の免震材料については大臣認定品として取り扱う。ただし、今後、交換改修用として製造するものは、当該大臣認定の諸条件を再確認したうえで、出荷時全数検査を第三者立ち会いのもと実施したものに限る」「交換改修用を除き、現行の大臣認定に基づく免震材料の今後の製造は認めない」とした。
会見で報告した委員長の首都大学東京名誉教授の深尾精一氏は、「東洋ゴムについては、顧客に向き合い、顧客の視点でいい製品をつくるという企業のコンプライアンスの姿勢、そしてそれを保つ仕組みが欠けていたと言わざるを得ない。国土交通省および東洋ゴムはこの報告書の提言を真摯に受け止めていただいて、必要な措置を確実に履行していただだきたい」などと述べた。