(株)三井住友トラスト基礎研究所は11日、「不動産マーケットリサーチレポート(2015年4月時点)」の概要を発表した。
国内の不動産取引は、不動産私募ファンドからの売却が一巡し、13年後半をピークに緩やかながら減少傾向に向かったとみられたが、15年に入り再び増加している。14年秋の追加金融緩和等の影響で価格の上昇ペースが強まり、短期売買(ブリッジファンド含む)が増加したほか、良好なJREIT(新規上場銘柄、新興銘柄)が積極的に物件を取得したことが要因。
現在は、不動産価格が上昇するが、物件供給が縮小して取引件数が減少する「高騰期」を進行している。本来なら、供給が縮小して価格高騰が進めば、やがて需要が縮小して価格は調整される「不況期」へ入るが、今回は、供給が縮小して価格は上昇するが、緩和的な金融環境下でなかなか取引需要が縮小に向かわず、じりじりと価格が上昇して「高騰期」が継続する「加熱期」に入っていく可能性があると予測した。
そうした中、海外投資家による国債保有率比率の上昇が引き起こす「想定外の金利上昇」、都心商業施設やホテル売り上げへの影響が見込める「中国の景気減速」等のリスクが多く存在していると指摘。また、17年4月の消費増税、19年のオフィス大量供給などのリスクイベントが連続していることから、不動産市況の変化は大きくなり、市況モニタリングやリスク動向の把握の重要性が高まっているとしている。