(一社)マンションライフ継続支援協会(MALCA)は26日、すまい・るホール(東京都文京区)にて、「次の世代に繋げるマンション~マンションの長寿命化とコミュニティ形成を考える~」をテーマにセミナーを開催した。
第1部では、(一社)マンション計画修繕施工協会(MKS)常務理事兼事務局長の中野谷 昌司氏が、「ヴィンテージマンションという考え方」について講演。中古住宅の建物評価における現状と課題を挙げ、ユーザーが買いたくなる「古くても価値のあるヴィンテージマンション」にするためには、提案型マンション計画修繕工事や専有部リノベーション、欧米型管理業務形態、適切な不動産価値評価が必要と述べた。
第2部では、伊藤忠アーバンコミュニティ(株)マンション管理グループマンションエンジニアリング第1部長兼100年マンション研究室長の三原幹雄氏が、同社が推進する「100年マンション」についての取り組みを紹介。「築30年が過ぎたマンションについて、壊して土地を売却精算するか、新たに建て替えるかの二択ではなく、『100年マンション化』するという選択肢を加えていきたい。そのためには、建物・生活価値・環境価値の3つの再生が不可欠」と話した。
第3部では、同協会事務局長の田中昌樹氏が、「マンションのコミュニティ形成『震災対応』編」をテーマに、地震被害の想定や具体的な破損の想定イメージについて解説。「マンションは地震や火災には強いものの、企業のBCPのような準備ができていないことが多く、現状では在宅避難は困難。また、エレベーター停止による高層難民の発生や給排水の不全による生活基盤の喪失など、マンション特有の課題がある」とした上で、「マンション生活継続計画(MLCP:Mansion Life Continuity Plan)」を各マンションで作成することの必要性を述べた。