国土交通省は、第1回「賃貸住宅管理業者登録制度に係る検討委員会」(非公開)(座長:明海大学不動産学部長中城康彦氏)を10月21日開催、その議事録を公表した。
賃貸住宅管理業者登録制度をめぐる課題を整理し、制度の普及促進のために必要な改善策を取りまとめるとともに、今後の制度のありかたについて検討し、必要な論点整理を行なうことが目的。
第1回目の会合では、事務局が登録制度の現状について説明。また同省が登録制度のメリット・デメリット、登録制度に係る一層の信頼性向上をはかるための改善点、その他登録制度に関する意見・要望について調査した「賃貸住宅管理業者登録制度に係るヒアリング調査」結果を示した。調査期間は2014年11月17日~15年1月末まで。登録を受けている全国の賃貸住宅管理業者が所属する業界団体のうち、賃貸住宅管理業登録・賃貸住宅管理業登録・管理システム上、比較的所属業者の多い(1)全国宅地建物取引業協会連合会の会員である各協会(14年10月末時点で2,298業者)、(2)(公社)全日本不動産協会(同691業者)、(3)(公財)日本賃貸住宅管理協会(同413業者)の3団体から、各地方整備局等の管轄区域内における各都道府県支部(計108支部等)を対象に調査。103支部等から回答を得たもの。
登録制度のメリットの有無については「有」と回答したのは48支部等、「無」が47支部等、「どちらとも言えない」が8支部等であった。メリット「有」と回答した主な理由は、「国の制度に登録していることを消費者にアピールできる」「管理業務に対する意識や知識の向上、管理業の社会的地位の向上」などがあげられ、「無」では、「登録しなくても業務に支障がなく、特段のメリットがない(分からない)」、「世間一般の認知度が低い」があげられた。一方、デメリットに関しては「有」が79支部等、「無」が17支部等、「どちらとも言えない」が7支部等。「有」の主な理由は、「登録に伴う事務量の増加」「登録に伴う行政庁の指導監督対象化」など。
また、登録制度に係る一層の信頼性向上を図るための改善点では、「登録制度の意義(必要性、効用(メリット)について、オーナー、消費者に対する国のPRが必要)」「登録の義務化、法制化が必要」「登録制度のビジョン(方向性)を示すことが必要」といった意見が寄せられたほか、「『管理』に『対価』が伴うことの認識をオーナーに理解してもらうことが必要。媒介業者が無償で管理業を行なっている場合が多く、業として成り立ってない」「『管理』の態様はさまざまなケースがあるため『標準』を考え方として統一的な制度設計が必要」といった登録制度に関する意見や要望等があった。
各委員からは、「賃貸住宅管理と宅建業の関係性の整理は今後避けて通れない」「制度の浸透には、管理業者のみならず、貸し主に対する周知への対策が必要」「まずは、賃貸管理業全体を把握すべきではないか。全体の管理業者数とその業者がどのような業務を行なっているかのイメージがつかめなければ改善施策を検討することも難しい」「管理業者にとっての登録のメリットが必要」「借り主への周知も管理業者からではなく別の方向からの広報が必要」といった意見があげられた。
第2回は2016年1月に開催し、登録制度の課題・改善策について検討。第3回(2月)は今後の登録制度のあり方についてとりまとめ案を示し、3月に報告書を発表する予定。