国土交通省は28日、「住宅団地の再生のあり方に関する検討会」(座長:東京大学大学院工学系研究科教授・浅見泰司氏)の8回目の会合を開き、とりまとめ(案)を発表した。
とりまとめ(案)では、高度成長期以後、都市近郊を中心に供給された大規模な住宅団地で、建物・設備・公共施設の一斉老朽化が進行。福祉等の必要な都市機能が確保されずに居住環境が著しく低下し、その再生が必要であるとした上で、再生に向けた課題を提示した。
団地再生に向けた課題として、(1)ストックの老朽化と居住者の高齢化の同時進行、(2)住宅団地の老朽化が周辺地域全体の活力低下へ波及するなど、まちづくりの面からの課題が表面化、(3)区分所有法に基づく権利関係に伴う合意形成が困難、(4)居住者の多様なニーズや立地特性からの必要性に対応可能な柔軟な事業手法が不存在、(5)建築基準法第86条の一団地認定の変更・廃止手続きにあたり合意形成が困難、の5項目を挙げた。
これら課題に対し、当面実現すべき事項として、土地の共有者を1人の組合員とみなす規定について、土地の共有者のみで市街地再開発事業を組合施行する場合、各共有者をそれぞれ1人の組合員として扱い、3分の2の合意での事業推進を可能とする仕組みを整備すべきと言及。また、既存ストック活用など立地特性に応じた柔軟な事業実施を可能とするための仕組みの整備、一団地認定の職権取り消しが可能であることの明確化も必要であるとした。
さらに、住宅団地や老朽化マンション全般に適用可能な合意形成をより円滑に進めるための枠組みの見直し、一団地認定制度をより使いやすくするための検討を、中期的に実現していくべき事項として行なっていくとした。
同とりまとめ(案)は、会合の場で議長の承認を得たことから、今回の議論を踏まえとりまとめとして発表する予定。