不動産ニュース

2016/3/1

地域特性を踏まえ、住民目線で水害ハザードマップを改定/国土交通省

検討会の様子
検討会の様子

 国土交通省は1日、第3回「水害ハザードマップ検討委員会」(委員長:群馬大学大学院工学研究科教授・片田敏孝氏)を開催した。

 2015年、水防法改正により、想定し得る最大規模の降雨・高潮に対応した浸水想定がなされ、各自治体でこれに応じた避難方法等を住民に適切に周知するためのハザードマップの改訂が必要となった。また、15年の関東・東北豪雨等において、氾濫域に多数の住民が取り残されるなど、ハザードマップが作成・配布されていても適切な避難行動に結びつかなかった事態や、一般的なハザードマップに記載されている浸水深・避難場所等の情報だけでは住民の避難行動に結びつかない事態が明らかになった。
 こうしたことを受け、15年12月に同委員会を設置し、利用者目線に立ったハザードマップの改善と想定最大規模の水害を踏まえた避難方法について検討してきた。

 3回目となる今回は、市町村が水害ハザードマップを作成する時の参考となるよう、考え方や作成方法、推奨される事例等を掲載した手引き(素案)および、これまでの議論の経過や今後のハザードマップのあり方についてとりまとめた「住民目線に立った水害ハザードマップのあり方(案)」が提示され、その内容について検討がなされた。

 手引き(素案)については、作成の方法や内容を細かく定めるものではなく、各市町村が自ら地域の特性を考え、住民に活用してもらうために工夫しながら作成・利活用することを目的としており、委員からは「今回の改定の目的をまず最初に理解してもらうため、冒頭で新しく盛り込んだ点や目指したものを強調すべき」「これまでの避難方法では住民の命を守り切れないことを明示すべき」といった意見がなされた。
 また、水害ハザードマップを水害時の住民避難に有効に活用するには、配布・公表だけの一過性で終わらないよう、年1回など定期的に利活用を促す機会を設ける、今後の自治体の利用状況を追跡調査するなどの声も聞かれた。

 今後は、委員からの手引き・報告修正に意見を収集後に関係機関等への意見収集をし、3月下旬を目途にとりまとめ「住民目線に立った水害ハザードマップのあり方について」として公表する予定。

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