国土交通省は15日、地域の不動産事業者向けに、不動産ストックの再生・活用やその資金調達に取り組むための事例集「不動産ストックビジネスの発展と拡大に向けて~今後の方向性と先進的な取組事例について~」を公表した。
2015年7月より3回にわたって開催された「不動産ストック再生・利用推進検討会議」(座長:早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授・川口 有一郎氏)での検討を経て、とりまとめたもの(詳細は3月7日付のニュース参照)。
事例集では、不動産を核とした新たなサービス・付加価値の提供といった今後の不動産ストックビジネスの方向性を打ち出した。同事業の取り組みのポイントとして、(1)地域の新たな需要の掘り起こし、(2)人材ネットワークの構築、(3)資金調達手法の工夫を示した。
(1)は、地域の社会経済状況に的確に対応した需要を掘り起こし、潜在的な利用者を引き付ける利用価値の向上が重要とし、地域価値向上につながるテナントの誘致や空き家サポートサービスの提供などの事例をあげた。
(2)では、幅広い分野の関係者が連携し、物件の発掘から再生、管理・運営までを一連のストーリーとして取り組む事例として、異業種の有志によるまちづくり会社設立や多様な団体と行政によるネットワーク形成などを取り上げた。
また、(3)の資金調達にあたっては、事業の意義やその収益性に着目したファイナンス手法や地域活性化のための投資など、多様な資金調達手法の活用を図る重要性を示した。具体的には地域金融機関との協調やクラウドファンディングの活用が有効としている。
巻末には、宅建業者をはじめとした11事業者による取り組み事例を掲載。事業実施に至る背景や具体的な取組内容に触れている。
事例集は同省ホームページ参照。