(株)富士経済はこのほど、エネルギーマネジメントシステムの国内市場を調査。その結果を報告書「2016エネルギーマネジメントシステム関連市場実態総調査」にまとめた。
同報告書ではエネルギーマネジメントシステム6品目をはじめ、関連の機器・デバイス16品目、サービス3品目、製品・技術12品目の市場を調査・分析し、家庭、産業、業務の各需要分野における市場の実態と方向性を明らかにしている。
注目市場として挙がっているHEMSの市場規模は、16年の見込み額が70億円(15年比7.7%増)、20年の予測が15年比2.6倍の168億円となった。
15年は、「大規模HEMS情報基盤整備事業」による実証モニター世帯向けの特需があった14年の市場規模には至らなかったが、ZEH補助金が打ち出されたことや、HEMSメーカー各社が地場ビルダーや工務店に対する拡販に注力したことにより、新築戸建住宅で導入が回復した。加えて、パワーコンディショナーのリプレースや蓄電システムの設置などと併せた提案が増加したPV搭載の既築戸建住宅、「スマートマンション導入加速化推進事業費補助金(MEMS補助金)」の申請物件である新築集合住宅で導入が進んだ。16年も引き続きZEH補助金やMEMS補助金の申請物件増加などにより、市場拡大が見込まれる。
また、需要分野別市場では、家庭分野、産業・業務分野とも拡大が続いており、今後も順調な伸びが予想される。
家庭分野は16年の見込みが129億円(同29.0%増)、20年予測366億円(同3.7倍)、産業・業務分野では16年見込み比783億円(同4.0%増)、20年予測911億円(同21%増)となった。
家庭分野はHEMS、電力計測対応分電盤(住宅向け)、家庭向け省エネサービス、産業・業務分野はBEMS、単回路電力モニター、多回路計測ユニット、データ収集サーバー、デマンドコントローラー、業務・産業向け省エネサービスなどを対象とする。
家庭分野は、中核を担うHEMSの導入増により市場拡大が予想されるほか、電力計測対応分電盤も市場拡大が予想される。家庭向け省エネサービスは市場規模がまだ小さいが、長期的には創エネ、蓄エネ設備の普及、ビッグデータ技術の活用による生活支援サービスとの統合などにより、拡大が期待される。
産業・業務分野では、BEMSが市場拡大をけん引。オリンピック特需以降伸び悩みが予想されるが、クラウド・ビッグデータ技術の活用により、施設のZEB(Net Zero Energy Building)化や多拠点統合管理、ビル管理の高度化などへの対応でリプレースが期待される。業務・産業向けのサービスは多様な分野の高圧小口需要家まで裾野が広がっており、中小規模事業者の採用増により堅調な推移を予想。今後電力小売事業者が省エネサービスを提案するケースも増加すると予想され、普及ペースが加速する可能性もあるとした。