三井不動産(株)は11日、2017年3月期第2四半期決算発表に伴い、説明会を開催した。当期の決算数値については過去のニュースを参照。
賃貸事業においては、既存オフィスの増収効果や前期に竣工、開業したオフィス、特に大規模な商業施設の通期稼働が収益に寄与した。首都圏オフィスの空室率は1.9%と6月末の2.6%からさらに低下したが、説明に当たった同社経理部長の富樫 烈氏は「引き続き増額賃料改定をお願いできる環境が継続」としながらも、「現在は少し低すぎる感もある。自社物件の中で動いてもらうには3%前後程度がちょうどよいのはないか」と述べた。
分譲事業については、個人向け住宅分譲において前年同期に引き渡しが集中したため計上戸数が減少し減収減益となったが、富樫氏は「新築マンション分譲の当期の計上予定戸数は5,450戸ある。その多くが第4四半期に集中しているため数字だけ見ると少ないように思えるが、契約進捗は91%となっており、通期に向かって順調に推移している」と説明した。
また、海外投資事業における英国のEU離脱や米国の大統領選挙の影響にも触れ「EU離脱によってロンドン中心では意欲の低下がみられる可能性がある。米国については大きな影響はないと思われるが、不透明な部分も多いのでマーケットがどう動くのか注視し、少し慎重になる必要はあるかもしれない。いずれにしてもきちんとした情報確保が必要だ」と述べた。
横浜市分譲マンションの基礎ぐいに係る問題は、施工会社である三井住友建設(株)より杭施工時に施工記録のデータの転用・加筆等が行なわれたこと、杭の一部が支持層に未達であり、建築基準法違反であることを確認。同マンションの建て替え費用や建え替え期間中の仮住まい等に発生すると見込まれる費用総額約390億円すべてを、三井住友建設、杭施工を行なった(株)日立ハイテクノロジーズ、旭化成建材(株)に対し、不法行為責任、瑕疵担保責任等に基づき求めると報告した。