不動産ニュース / その他

2022/5/31

所有者不明土地の法改正課題等を議論/不動産学会

 (公財)日本不動産学会は30日、2021年度業績賞表彰式および22年度春季全国大会シンポジウムを、Zoomによるオンライン形式で開催した。

 表彰式では、住友不動産(株)の「新宿住友ビル リニューアル・三角広場」が、最高賞となる「国土交通大臣賞」を受賞。受賞挨拶で、同社代表取締役社長の仁島浩順氏は「地域の課題解決に資する施設をリニューアルによって整備するという、超高層ビルにおける先駆的な挑戦。ビルを建て替えることなく、地域の課題を解決する第一歩であり、人の流れを変え、地域活性化になるものと考えている」などと述べた。その他の業績賞については、過去のニュースを参照。

 続いて、「民事基本法制の見直しと所有者不明土地問題」をテーマにしたシンポジウムを開催。「民法等の一部を改正する法律案」「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案」が21年4月に成立したことにより、相続登記の義務化、相続財産の管理・清算や遺産分割の促進など、所有者不明土地の発生を予防し、利用・管理の円滑化を図るための民事基本法制の枠組みが整備された。シンポジウムでは、所有者不明土地問題の現状と課題を把握するとともに、法改正の意義、効果、課題等について、議論を行なった。

  法務省大臣官房参事官の大谷 太氏が、民法等一部改正法・相続土地国庫帰属法について概説。新しい制度の円滑な実施には、内容や意義について、広く国民の理解を得ることが重要だとし、周知広報活動などを紹介した。

 (公財)東京財団政策研究所 研究員・研究部門主任の吉原祥子氏は、制度の見直しについて振り返り、今後の課題などを整理した。適切な運用のためには、基礎自治体に丁寧に周知を図っていくことや専門家との連携が不可欠だとし、「現場の課題抽出とさらなる制度見直しの反映が重要であり、制度の実効性の検証が課題」と述べた。

 続いて、日本大学経済学部教授・(公社)日本不動産学会理事の中川雅之氏は、経済学の視点で、日本の登記制度の効率性について紹介。「収益率が極端に下がった土地は、事前に登記制度で管理をきっちりとする必要はないのではないか」などと述べ、問題を提起した。

 その後、司法書士・日本司法書士連合会前会長の今川嘉典氏が相続登記、住所変更登記の義務化等について、 獨協大学法学部教授の小柳春一郎氏が相続土地国庫帰属法、弁護士・(公社)日本不動産学会理事の吉田修平氏が財産管理制度に関する改正について紹介し、登壇者からはさまざまな意見が挙がった。

この記事の用語

所有者不明土地

探索しても所有者を確知できない土地。所有者が不明な場合のほか、所有者の所在が分からない場合も含まれる。

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