不動産ニュース / 開発・分譲

2022/9/21

木造の大スパン空間を可能に/ポラスG

 ポラスグループで注文住宅等を手掛けるポラテック(株)は20日、「MPブレースシート」を用いた建築現場の見学会を開催した。

 同社は住宅建築のほか、店舗、施設などの中大規模建築物の木造化を推進。その一環として、2021年11月、店舗建築物の木造標準型を(株)ポラス暮し科学研究所と、建築金物大手のBXカネシン(株)と共同で開発した。

 「MPブレースシート」とは、コストを抑えながら鉄骨造と同等の大空間を木造で実現する、水平構面の補強用金物。従来、鉄骨造で建てられることが多かった物販・飲食店舗や倉庫などにおいて、構造用合板と小梁による細かな構成を高強度の鉄筋ブレースに置き換えられるため、大断面集成材の梁や合板受材などの部材点数を少なくすることが可能に。設計・施工も容易な木造の大スパン空間を可能とする。また木造は、鉄骨造の約4倍の炭素を貯蔵するとともに、材料製造時の二酸化炭素排出量も大幅に減少できる。

 鉄骨造で建築した場合の物販店舗(建物規模:24m×48m程度を想定)のコストを1とすると、従来の木造が1.51、MPブレースシートを活用すると0.86と試算される。コンビニエンスストア(建物規模:12m×18m程度を想定)の場合は、従来の木造が1.11、MPブレースシート活用では0.53。また、鉄骨造に比べ、解体・改修費用も抑制できる。

 今回受注した第1号案件(さいたま市南区)は、自治会館として活用する。引き渡しは11月末。同社は、これまでになかった店舗等建築物の木造標準型の提案を推進していく考え。

 同社特販部部長の篠田和弘氏は、「21年10月に公共建築物等木材利用促進法が改正され、木造化促進の範囲が公共建築物だけでなく民間建築物にも拡大されることになった。脱炭素社会の実現やSDGsに対する企業の取り組みとして“建物の木造化”はさらに加速することが予想される。チェーン展開をしているドラッグストアや倉庫などの設計・施工に木造化を提案し、リピートを狙いたい」と話した。

鉄筋ブレースで高強度の水平構面を構成できる「MPブレースシート」

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国連が定めた世界が共通に達成すべき目標。SDGsは、英語のSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略語である。

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