不動産ニュース / ハウジング

2023/8/22

建物の3Dモデルをメタバースとして可視化

「D’s BIM ROOM(ディーズビムルーム)」イメージ

 大和ハウス工業(株)は22日、グループ会社の南国アールスタジオ(株)と(株)トラスの3社で、建物の3次元(3D)モデルを、メタバース(仮想空間)「D’s BIM ROOM(ディーズビムルーム)」として可視化させる技術を開発したと発表した。

 大和ハウス工業は2017年からBIM(コンピューター上に現実と同じ立体モデルを再現し、建築を効率化する仕組み)の推進を開始し、20年にすべての商業施設や事業施設の設計業務でBIM化が完了した。21年にはオンラインで建材を選定するクラウド管理システムを持つトラスと、BIMの連携を開始。今回は、企業向けメタバースプラットフォーム「WHITEROOM(ホワイトルーム)」を有する南国アールスタジオとBIMの連携を行ない「D’s BIM ROOM」を開発した。

 「D’s BIM ROOM」は、建物のBIMデータとクラウド建材管理システムで選択した建材を、「WHITEROOM」で連携させ、メタバースとして可視化するもの。XR(現実世界と仮想世界を融合する技術の総称)用のモデルを別途作製する必要がなく、短時間でスムーズに、設計図書との整合性を担保した3Dモデルを作製できる。

 顧客自身がパソコンやタブレット、ヘッドマウントディスプレイなどのデバイスを使用し、「D’s BIM ROOM」に入ることで、実寸大の外観イメージや色味、周辺環境との距離感などをリアルに近い形で体験できる。アバター(分身)として最大50名まで参加でき、会話や資料を共有し、時間や場所を選ばす打ち合わせができる。建物の大きさの確認や内装の色決め、家具の配置なども可能。「D’s BIM ROOM」内で、決定した事項は、BIM等へ瞬時に反映するため、数多くの変更が生じる企画・設計・施工の過程において、効率的に共同作業が進められる。

 VR(仮想現実)とMR(複合現実)の双方に対応。計画する建物の建設地にMRで建物の3Dモデルを表示させる場合、更地に竣工した建物イメージを表したり、建物の3Dモデル内から実際の周辺環境等を確認したりできる。

 23年9月より、大和ハウス工業が建設する商業施設や事業施設等において検証を進め、順次導入することで、生産性向上および業務効率化を図っていく。

 22日会見した同社上席執行役員の河野 宏氏は「当社は建築の工業化を目指し建築DXを進めている。共通データ環境「CDE」(クラウド保管場所を示す)のデータが、すでに4万件蓄積されており、これらをICT設計・ICT施工に活用していく時期に入っている。今後5年間で『守りのDX』(経営基盤の強化)『攻めのDX』(収益モデルの進化)を両輪で進めていきたい」などと述べた。

「D’s BIM ROOM」を体験する様子

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VR

情報技術を活用して、人工的に現実感を作り出すこと。英語のVirtual Reality(バーチャル・リアリティ)の略語で、「仮想現実」「人工現実感」などと翻訳されている。

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