国土交通省は3日、第3回国土審議会推進部会を開催。「地域生活圏」の形成促進のための施策検討を目的に、同推進部会に「地域生活圏専門委員会」を設置することを決定した。
地域生活圏では、「生活サービスの利便性の最適化・複合化」「地域内経済循環の仕組みの構築」を目指し、(1)官民パートナーシップによる「主体の連携」、(2)分野の垣根を越えた事業の連携、(3)行政区域にとらわれない「地域の連携」をポイントにした地域経営を図る。「デジタルとリアルが融合した『地域生活圏』が各地域で実装されるよう、デジタル田園都市国家構想総合戦略の取り組みとも一体となって各種のプロジェクトを進めていただきたい」との総理指示(2023年7月4日)を受け、デジタルの徹底活用を図る。
同委員会設置に向け、推進部会委員からは「地方ではすでにインフラの維持も難しい地域がある。まずは安定的なインフラ供給について議論してほしい」「地方公務員は減少傾向にある。地域サービスの担い手確保についても検討してほしい」「いろいろな規模の地域があり、ひとくくりにはできない。どの地域で暮らしている人のことも取りこぼさず、サポートすることを意識していきたい」「小さな都市だけで地域生活圏を維持することは難しい。中心となる都市、まわりの小さな都市を一体的に検討すべき。中には中心都市でも人口5万人、というエリアもある。中心都市をどうサポートするかという視点も必要」など、今後議論すべき点が挙げられた。
それを受け、事務局は「人口規模や地域の規模は柔軟に検討していきたいと考えている。インフラや担い手についても、官官連携、官民連携を図ることも念頭にさまざまな機関と連携して議論していきたい」とコメント。国土政策局長の黒田昌義氏は、「人口減少下においてどのように生活サービスを運用するか、主体について検討しなければならない。すでにさまざまな自治体で取り組みが行なわれているので、事例も参考にしつつ、地域特性を踏まえて丁寧に検討していきたい」と話した。
同委員会は、10月~25年5月にかけ4~5回程度実施。25年6月以降に報告を行なう。
同推進部会では23年度専門委員会を置き検討を進めてきた「移動・二地域居住」推進の取り組みについても事務局が報告。11月の「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律」施行に向け、基本方針やガイドライン等の検討、プラットフォームの組成準備等を進めているとした。プラットフォームは官民をつなぐもので、二地域居住の促進に係る情報交換・共有、課題点の整理や検討等を行なう場となる。
リニア開業に伴う新たな圏域形成に関する関係省庁等会議のスケジュールも報告。同会議は、リニアの中間駅予定地(神奈川県・山梨県・長野県・岐阜県)を「全国的な回廊ネットワーク」を形成する上で重要となる「日本中央回廊」の核とし、圏域の活性化方策を検討するもの。25年1月30日から集会を開始し、同年夏頃に中間とりまとめを発表する。