不動産ニュース / 調査・統計データ

2024/12/5

23区オフィス、引き続き「面積拡大」傾向

 森ビル(株)は5日、「2024年 東京23区オフィスニーズに関する調査」の結果を公表した。9月2~30日に、東京23区に本社が立地する企業で資本金上位の約1万社を対象にアンケート調査を実施。有効回答者数は2,073社。

 新規賃借予定がある企業の割合は25%と、前回調査(23年)から2ポイント減少した。うち、面積の「拡大予定」は58%と20年調査から連続して増加。「縮小予定」は18%と前回調査から7ポイント減少した。新規賃借を予定する時期は、「1年以内」が28%、「2年以内」が17%。前回調査と同じく、2年以内を予定する企業が約半数を占めた。

 新規賃借する理由のトップは、昨年と同じく「立地の良いビルに移りたい」(32%)。次いで「新部署設置、業容・人員拡大」(28%)、「設備グレードの高いビルに移りたい」(25%)となった。企業成長を見据えた新規賃借を検討する企業が増加していることがうかがえる。一方で、「賃料の安いビルに移りたい」(25%)は4位に位置するものの、前回調査比で2ポイントの低下。同社営業本部オフィス事業部 営業推進部 部長・竹田真二氏は、「経済を不安視する向きが強かったコロナ禍ではコストを重視する企業が多かったが、現在は景気が安定化したため企業の関心はオフィスビルの機能やグレードに移っている。従業員数300人以上の企業の回答に絞ると、『セキュリティ(防犯)の強化』が2位に、『耐震性の優れたビルに移転したい』が4位に付け、『賃料の安いビルに移りたい』という回答はトップ10からも漏れており、その傾向が顕著に表れている」と分析している。

 現在賃借しているオフィスの賃料改定については、約2割の企業が「過去1年間で賃料改定があった」、もしくは「現在交渉中」と回答。うち、「賃料増額」は73%、「賃料減額」は19%。増額が7割を超えるのは4年ぶりで、コロナ禍では一服感があった増額傾向に再びシフトした。

 本社オフィスの存在意義や求められる機能・役割を尋ねると、「社内コミュニケーション・コラボレーションの強化」(71%)、「デスクやOA機・通信環境等が整った快適な執務環境」(51%)、「従業員のエンゲージメント向上」(49%)、「情報セキュリティが確保された執務環境」(49%)が上位に。一方、オフィス環境づくりの課題についても、1位は「社内コミュニケーション・コラボレーションの強化」(42%)。「従業員のエンゲージメント向上」(32%)、「災害など有事における本部機能」(26%)と続いた。

 働き方やオフィス環境の変化について、同氏は「出社率の平均は78%と、前回調査から2ポイント上昇している。オフィス内機能の面積割合も、社内会議スペース等を含む業務支援エリアやオープンなミーティングスペースを増加させたいというニーズが高い。多くの企業が在宅などでは得られないコミュニケーション機能をオフィスに期待しているようだ。今後もこうした傾向が続き、オフィスの機能拡充が進んでいくとみられる」と総括した。

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