不動産ニュース / 政策・制度

2025/1/28

住生活基本計画の改定へ、住環境整備の方向性探る

 国土交通省は28日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会を開催。住生活基本計画の改定に向けて委員からのプレゼンテーションと意見交換を実施した。

 前回の論点整理を受け、「2050年に向けた住宅政策の方向性」について、(株)リクルートSUUMO編集長兼SUUMOリサーチセンター長の池本洋一氏、東京大学大学院工学系研究科教授の大月敏雄氏、日本大学経済学部教授の中川雅之氏がそれぞれプレゼンテーションを行なった。いずれも、総括的な視点から住生活の環境整備や住宅政策の方向性について問題提起した。

 池本氏は「整える」をキーワードに、次世代への承継を踏まえ、「住まう場所」「住まう家」について各種調査データや居住誘導、マンション高騰の抑止について論点を提示した。また、幸福度と市場拡大の観点から、50歳代・60歳代以降の住み替え・建て替え・リフォームを推進するべきとすると共に、二地域居住の重要性についても解説した。

 大月氏は、「住宅がある」状態の確保から、「自分らしく住む(住生活の充実)」という状態の確保が重要だという視点で、国や都道府県・区市町村などが抱える課題を指摘。「地域住宅ストックのアセットマネジメント」「災害対応」「住生活支援」などの観点から、目指すべき方向性について考えを述べた。

 中川氏は「人口減少下の住宅政策」をテーマに、個人が所有する資産を活用できる基盤を作ることが大切だと強調。特に高齢者の居住エリアについては、人口減少によって介護・医療・福祉サービスの供給体制が不足するという予測データを基に、「高齢者の人口移動を前提に考えなくてはならない」とした。また、コンパクトシティ化の流れの中で、市町村が主体の都市計画には限界があり、都市圏単位で考える必要があるとしている。

 これらについて、他の委員からは「人生100年時代を踏まえ、60歳代以降も積極的に住み替えられるような環境を整備すべきでは」「地方航空路線の危機など、地方圏への交通アクセスが厳しくなってきている。国交省全体で考えるべき問題ではないだろうか」などといった意見が挙がった。

 次回の会合は2月27日に行なわれる予定。「人生100年時代において支える仕組みについて」を題材に、委員からのプレゼンテーションを行なう。数回の会合を経て、7~9月に中間とりまとめ案を検討、11月に中間とりまとめを行なう。その後、新たな住生活基本計画(全国計画)の案について議論し、26年3月に閣議決定する予定。

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住生活基本計画

住生活の安定の確保及び向上の促進に関する基本的な計画で、全国計画と都道府県計画がある。住生活基本法に基づき、全国計画は政府が、都道府県計画は都道府県が策定する。

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