
(株)フージャースホールディングス代表取締役社長執行役員の小川栄一氏はこのほど、専門誌記者と会見。主力事業である分譲マンション事業やCCRC(シニア向け分譲マンション)等の今後の戦略等について語った。
同社は創業30周年。「当社の事業は『地方』『シニア』『富裕層』の掛け合わせで成り立っている」(小川氏)と、分譲マンションでの積極的な地方展開や、富裕層をメインターゲットにしたシニア向け分譲マンションで、他社と差別化を図ってきた。
分譲マンション事業については、富裕層の需要が見込める地方都市の一等地での物件が売れ行きも好調で、完成在庫も前々期の400戸から前期は100戸まで減らした。「産業の強い都市など、分譲事業との相性が良い都市を全国横並びで比較しながら事業を検討していく。他社は同じ都市で比較検討しているが、全国横並びで比較することで上値が探れる。良い不動産への富裕層のニーズは強い」(同氏)。建築費の高騰で一般ユーザー向けの分譲事業は厳しさを増しているという認識ながら「自治体と連携し公園の再生と分譲マンションとを組み合わせた事例や、女性向けコンパクトマンションなど新たな切り口でブルーオーシャンを探していく」(同氏)とした。
一方のシニア向け分譲マンション事業は、首都圏で16棟・2,500戸余を供給してきたが、今後は地方都市への展開を図る方針。「普通の住まいと施設との中間、少しのサービスでアクティブシニアの生活をサポートするニーズは増え続ける。団塊世代は蓄えもある。入居者の厳しい指摘を受けながら洗練してきたサービスノウハウの蓄積は、同業他社の参入障壁となる。購入後10年間住んで買値の90%で売却できる資産性から、相続対策としての強みもある」(同氏)。
展開を検討していくのは、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡など。「シニア層は地域コミュニティを断ち切ってまでは引っ越しをしない。地域コミュニティが希薄な大都市圏が条件となる」(同氏)。
また今後は、投資家向けの賃貸マンション1棟売り事業にも注力。「賃貸マンションは画一的な商品が多いが、分譲マンションのノウハウを生かし、使い勝手の良い間取りなどで居住性を高めることで、稼働率の高いマンションを目指す。投資家にも入居者にも支持される商品を作っていく」(同氏)。