不動産・住宅各社は1日、2025年度の入社式を執り行なった。各社の対応状況や社長挨拶の要旨については、以下の通り(順不同)。
◆三井不動産(株)
◆三菱地所(株)
◆住友不動産(株)
◆野村不動産ホールディングス(株)
◆東京建物(株)
◆(株)大京
◆(株)長谷工コーポレーション
◆森ビル(株)
◆中央日本土地建物グループ(株)
◆森トラスト(株)
◆三菱地所レジデンス(株)
◆東急グループ
◆(株)西武ホールディングス
◆三井不動産(株)代表取締役社長 植田 俊氏
入社おめでとうございます。
本年2月に新しくオープンした、この「&MIND-学びの杜-」という研修施設で皆さんをお迎えできることを大変嬉しく思います。本日、皆さんが社会人として第一歩を踏み出されるにあたり、私からお話をさせていただきます。
三井不動産グループは1941年の創立以来、時代の変化をチャンスと捉え、進取の気性の精神で多くの挑戦を続けてきました。これまでに、埋め立て事業、日本初の超高層ビル「霞が関ビル」をはじめとするオフィスビル事業、住宅事業、商業施設事業、東京ドームをはじめとするスポーツ・エンターテインメント事業、物流施設事業、ホテル・リゾート事業等を推進してきました。そして、ミッドタウンや日本橋に代表されるように、それらを統合したミクストユースの街づくりを進め、今やこれらの街づくりは東京、そして日本を代表するウェルビーイングな街として結実しています。ビジネスの舞台はグローバルに広がり、欧米やアジアの各都市等世界中で街づくり型事業を進めています。
さらに、近年では、ハードな建物だけではなく、「場」と「コミュニティ」の提供を行うことで、そこに集う人々や企業が「イノベーション」を起こし、社会に新しい価値や産業を生み出すお手伝いをしています。「不動産デベロッパー」の枠を超えた「産業デベロッパー」というプラットフォーマーとして、社会の付加価値創造と新たなイノベーション創出にチャレンジしています。先代たちから続く、この未来を開拓していくチャレンジ精神、それがまさに当社のDNAです。
ところで、話は変わりますが、今から約46億年前に地球が誕生しましたが、その長い地球の歴史の中で、約5億年前にカンブリア紀という時代がありました。カンブリア紀には、遺伝子の爆発的変容というパラダイム転換が起き、多数の生物が誕生しましたが、この時代の勝者は最強の捕食者ではなく、弱々しいナメクジウオの祖先であるピカイアという生き物でした。ピカイアは脊索動物である私たち人類の祖先と言われていますが、環境の変化に対応できたもの、つまり、「適者生存」したものだけが生き延びたことが分かっています。
現在、世界は歴史的な転換点を迎えています。本年1月に就任したトランプ政権の保守的な政策等によるインパクトが各国経済に与える影響が懸念されています。国内に目を向けますと、賃上げが継続し、物価上昇の好循環の兆しが見え始め、金利ある世界が戻ってくる等、まさに「失われた30年」からの転換点に来ています。
「失われた30年」はデフレの時代でした。デフレの時代というのは、極論すれば安いものが勝つ。付加価値が正当に評価されず、心も萎縮し、イノベーションも起きづらい時代でした。デフレからの脱却により、これまで美徳とさえされてきた「良いものを安く」から、「良いものは価格で評価する」という考えに、供給者サイドも消費者サイドもマインドセットをしていく必要があります。特に供給者サイドは、戦略的に付加価値を作り出し、差別化できなければ生き残れない、マーケットにおける優勝劣敗・二極化の構造は、さらに進んでいくと考えます。
また、今後もデジタルシフトによる行動変容や生成AIの発展等が加速し、事業環境の激しい変化が予想されます。まさに、ビジネスのカンブリア紀に突入しています。そのような不確実性が増す時代に、最も大切なことは「顧客志向」であると私は考えています。前例踏襲やマニュアルに従うだけでは環境変化や多様化する顧客ニーズには対応できず、突き抜けた発想で付加価値を創出しなければ、激しい競争に打ち勝つことはできません。
昨年4月に公表したグループ長期経営方針「&INNOVATION2030」は、ありたい姿を「妄想」し、戦略を「構想」することで、「実現」につなげていくという強い決意をもって策定しました。徹底した顧客志向をもとに、社会に付加価値をいかに創出できるか、高められるかが求められています。顧客志向の中に「妄想」するヒントが必ずあります。
皆さんの若くてフレッシュな「妄想」が、新しいビジネスの芽を育てて「構想」となり、「実現」につながっていくと期待しています。もし、失敗したとしても、ベストを尽くした結果が失敗であるならば、それは皆さんの将来にとって必ず大きな財産となるでしょう。私たちを取り巻く環境がダイナミックに変化するなか、当社はイノベーションを通じて新たな価値を創造し、社会・経済におけるリーダーシップを高めながら持続的に成長していくことを目指します。この挑戦に果敢に立ち向かい、次なる一歩を共に踏み出しましょう。
最後に、改めて当社グループの事業は地球規模で社会的意義が大きく、人々に夢と感動を与えられる産業だと私は心から信じています。そして、当社は、仕事を通じた自己実現によって、日本全体ひいては世界全体のイノベーションに大きな影響を与えることのできる会社だと信じています。
高い志を持って自己実現を目指す者にとっては、最高のステージとなるでしょう。
当社グループがさらに魅力あふれる企業グループであり続け、また今後もたくましく成長していけるよう、当社グループのコーポレートメッセージ『さあ、街から未来をかえよう』を胸に刻みながら、共に頑張りましょう。
◆三菱地所(株)執行役社長 中島 篤氏
入社おめでとう。三菱地所の仲間として迎えられたことを大変嬉しく思う。ぜひ、今の初心を大切にし、これからの成長につなげてほしい。
三菱地所グループは「まちづくりを通じて社会に貢献する」という基本使命を掲げている。その根幹には、「三菱三綱領(所期奉公・処事公明・立業貿易)」の理念があり、この価値観を受け継ぎ、誠実に仕事に取り組んでほしい。
企業の力の源泉は人財である。世界情勢が大きく動き、テクノロジーも進化する今、過去の経験が通用しない局面が多くある。そうした環境の中で、長期経営計画2030を達成するためには新しい感性を持つ皆の力が欠かせない。更に「2040年」「2050年」には皆が中心となって未来を切り拓いていくことを期待している。
今後仕事をする上で、大切にしてほしいことは二つある。「(1)向上心を持ち、自身を成長させること」そして「(2)周りの人への尊重を忘れないこと」だ。
(1)について、当社の事業は単独で完結するものではなく、社内外の多くの関係者と協力しながら価値提供をしていくものだ。「この人ともう一度仕事がしたい」と思ってもらえる様、基本的な業務遂行力はもちろん、語学力やグローバルな対応力も磨き、世界に通用するデベロッパー人財へと成長して頂きたい。
また、「(2)周りの人への尊重を忘れないこと」も大切にしてほしい。意見や立場が異なるときは、意見を戦わせながらもお互いに敬意をもって接することで、仕事が円滑に進み、自己成長にもつながるはずである。
当社のブランドスローガンは「人を、想う力。街を、想う力。私たち三菱地所グループは、チャレンジを続けます。」だ。世界中からナンバーワンと言われる不動産事業グループを目指し、一人ひとりがチャレンジを続け、一緒に次に行こう。
◆住友不動産(株)社長 仁島浩順氏
住友不動産グループを代表して、皆さんの入社を心より歓迎します。
当社は、持続的成長による経常利益4千億円達成への大きな飛躍を見据え、その基盤づくりを着実に進める「第十次中期経営計画」を開始しました。
市況改善の続く東京のオフィスビル賃貸、堅調な分譲マンションの事業推進とともに、新築住宅に加えて既存住宅市場での成長に向け、注文住宅とリフォーム部門を統合した「住友不動産ハウジング」を本格始動、社名を「住友不動産ステップ」と改め、顧客本位の事業構造改革を推進する仲介部門を含め、「グループ一体経営」のもと、まずは経常利益3千億円突破の前倒し達成を目指します。
建築費高騰や金利の上昇など、事業環境が転換する中、皆さんには、当社グループの一員として先々の変化を捉えて先手を取るべく、柔軟かつ独自の発想で仕事に取組み、住友不動産グループの未来を創造すべく大いに活躍していただきたい。
これから共に頑張ってまいりましょう。
◆野村不動産ホールディングス(株)代表取締役社長 グループ CEO 新井 聡氏
野村不動産グループに入社された387名の皆さん、誠におめでとうございます。
最初に、皆さんが人生における新しいステージに入られたことに対してお祝い申し上げます。そして、皆さんのここまでの成長を支えて下さったご家族をはじめとする方々に、皆さんと一緒に深く感謝したいと思います。
2025年は、当社グループにとって大きな節目の年になります。
当社グループは、この夏に、47年前に本社を構えた新宿から港区のブルーフロント芝浦に本社を移転します。
単に本社の場所を変えるということではなく、当社で働く皆さんの意識を変えることにより、当社グループが新たなステージに進化していくきっかけにしたいと考えています。
当社の強みである「お客様のニーズを起点にして、優れた商品・サービスを産み出し、提供し続ける」ことに変わりはありません。
この強みを活かしながら、価値創造の手法を変革し、提供する商品・サービスの価値をさらに高めていくことにより、新たなステージである「まだ見ぬ、Life&Time Developer」への進化を加速させていきます。
人々を幸せにして、社会を豊かにする、そのようなグループになることを目指していきます。
グループの仲間になった皆さんに、私からお願いしたいことが二点あります。
一つ目は、今日から自分自身を磨くことに今まで以上に力を入れていただきたいということです。
仕事を離れた場においても、様々なことに好奇心をもって、自らの知見を拡げる努力を続けて下さい。
たゆまない努力によって得られる幅広い知見は、必ず将来の皆さんの糧になるはずです。
二つ目は、皆さんが働く職場に新たな風を吹き込んでいただきたいということです。
新人だからこそ、経験が少ないからこそ新たに気づくことや考えることもあるはずですので、遠慮せずにそれらを周りの人に伝えて下さい。皆さんのそのような行動が職場に新たな風を吹き込むことに繋がりますので、是非とも前向きに取り組んで下さい。
最後になりますが、人々を幸せにして、社会を豊かにしていくことを目指す野村不動産グループに加わった皆さんを、あらためて心から歓迎致します。
今日から、皆さんは私たちのグループの一員です。これから全員で明るい未来を創っていきましょう。何卒よろしくお願いします。
◆東京建物(株)代表取締役 社長執行役員 小澤克人氏
皆さん、本日は入社おめでとうございます。新しい仲間を迎えることができ、大変嬉しく思います。(一部省略)
当社は、1896(明治29)年に安田財閥の創始者である安田善次郎翁が「不動産取引の近代化」と「市街地開発の推進」を使命として創業した会社であり、今年で129年目を迎える、日本で最も歴史ある総合不動産会社です。「東京建物」という名称は、安田善次郎翁の「建物があってこそ、不動産は価値を生むもの」という信念に基づき名づけられたと言われています。
創業以来、安田善次郎翁が旨とした「お客様第一」の精神と、時代の流れを先んじて捉える進取の精神を企業活動の原点として、時代のニーズを捉えた新しいアセットの開発をはじめ、多様な不動産開発事業を東京建物グループ全体として展開してまいりました。こうした、創業の目的や、創業者の精神は、今も当社グループの中に深く根付いており、企業理念である「信頼を未来へ」とともに、当社グループの企業文化や風土、DNAを形成しています。
そして現在、当社は、グループの長期ビジョン「次世代デベロッパーへ」を掲げ、事業を通じて「社会課題の解決」と「企業としての成長」をより高い次元で両立することで、すべてのステークホルダーにとっての「いい会社」となることを目指し取り組んでいます。これまでも先人たちは、さまざまな社会課題に直面する中でその解決に尽力してきましたが、変化の著しい時代の中で当社が発展していくためには、「社会課題の解決」と「企業としての成長」をこれまでとは違ったレベルで両立する必要があるのではないかという問題意識のもと、「次世代デベロッパーへ」を掲げたものです。「デベロッパー」には、単にビルや住宅というハードを造って収益を積み上げるだけでなく、人が「住む」「働く」「憩う」場をサービスも含めて創造し、長期的な視点からまちの文化や機能を発展させていく、不動産開発にかかわる社員だけでなく、販売や管理などにかかわる社員も含めたすべてのグループ役職員が、まちや社会を“Develop”する意識を持って携わっていくという意味を込めています。
さらに当社では、長期ビジョン達成のため、事業を通じて実現する社会との共有価値を意識し、「社会価値創出」と「価値創造基盤」の2つの観点から14のマテリアリティ(重要課題)を特定しています。「社会価値創出」における社会との共有価値としては「「場の価値」と「体験価値」の創出」、「地球環境との共生」を掲げており、具体的には、当社が創業以来拠点を構えるYNK(八重洲、日本橋、京橋)エリアを中心に、事業を通じた国際都市東京の競争力強化や「ウェルビーイング」の向上に貢献するほか、脱炭素社会・循環型社会の推進にも取り組んでいく方針です。一方、「価値創造基盤」における社会との共有価値としては、「価値を創造する人材」「サステナビリティ経営の実現」を掲げており、本年公表した新たな中期経営計画にもある「成長を支える経営インフラの高度化」を通して、企業としての成長とともに、持続可能な社会の実現に貢献していきたいと考えています。
組織、人材の面では、フラットな組織で、役職員の自立や主体性とともにチームでの成果を重視され、質の高いチームプレーや円滑なコミュニケーションを可能とする組織風土が当社の強みと考えています。また、経営と現場の距離が近いことで上下双方のコミュニケーションも活性化しており、現場のアイデアが反映されやすく、変化を受容する柔軟性も備えていると考えています。こうした組織が力を発揮するためには、役職員一人ひとりの人間力が大切になります。当社において重視されてきた「凡事徹底」や「内発的行動」の価値をこれまで以上に重視し、世代を超えて「次世代デベロッパー」を目指していきたいと思います。
最後に、私は「企業は人なり」「人材こそ最大の財産である」と捉えており、役職員一人ひとりが自らの仕事に誇りを持ち、持てる力を最大限に発揮できる企業文化、風土を育み、ともに「社会課題の解決」と「企業としての成長」をより高い次元で両立するために邁進していきたいと思います。
皆さんの挑戦と成長が当社グループの発展の原動力となることを大いに期待しています。
以上、私からの祝辞といたします。
◆(株)大京 代表取締役社長 細川展久氏
新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。総勢183名の方を新しく迎えられることを、大変うれしく思います。
マンションを中心とした住宅業界において、大京と穴吹工務店はともに60年以上の歴史があります。大京は累計の供給戸数において日本一のパイオニア企業です。また、マンションの開発だけでなく、関連会社では管理や流通、修繕工事を手掛けるなど多彩なバリューチェーンを築いており、成熟産業と言われる住宅業界において常に新しい価値を提供し続け、お客さまの幸せと企業成長の両立を目指し活動しています。
学生と社会人の大きな違いは、学生は多くを学びインプットする時間であったのに対し、社会人はインプットしたものをアウトプットすることを求められる点です。プロフェッショナルとしてお客さまに接していくために、ぜひとも主体的に課題感をもって日々の業務に取り組んでください。失敗を恐れず、新しいことにもチャレンジしていただきたいと思います。
また、環境、人権問題などコンプライアンスを遵守していくことは、企業の社会的責任を果たす上で重要です。コンプライアンス、ガバナンスを守るということは会社だけでなく、自分たちを守ることになり、お客さまからの信頼にもつながります。
私から皆さんへ3つ、アドバイスをしたいと思います。
(1)将来の目標は、実現可能でありつつ、少し難易度が高いものを設定するといい
(2)自分が行っている業務が、「本当に会社のためになっているのか」を常々考えて行動してほしい
(3)指示された業務のみを行うのではなく、先輩や上司がなぜその指示をしたのか相手の立場に立って考え、新たな提案につなげてほしい
最後に、私も今年の一月に大京の社長に就任したばかりで、今年は皆さんと同じ一年目の年になります。皆さんと一緒に企業の成長に貢献していきたいと思います。
◆(株)長谷工コーポレーション 代表取締役社長 熊野 聡氏
新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。
長谷工グループはこれまで約71万戸のマンションを施工し、日本の住宅基盤を作ってきただけでなく、そこに住む方の暮らしや人生をサポートしてきました。皆さんが入社したそれぞれの会社は、お客様にとっては同じ「長谷工グループ」です。皆さん550人全員が同期となりますので、会社・職種を超えて連携・協力して多くの人々の住まいや暮らしを支えていって欲しいと思います。
会社に入社するということは、長谷工グループ又はそれぞれの会社という器、昔から形があるものに入るという感覚ではなく、皆さんがそれぞれの会社という体の一部になるということです。「尊重する」・「大事にする」という意味で「長谷工リスペクト」を持つことが大切です。また、「人との出逢い」を大切にしてください。社内外のありとあらゆる数多くの「人」と、深く付き合うことが大切です。コミュニケーション手段が発達している今だからこそ、「対面で会う」重要性は増していると考えます。
長谷工グループは、過去に何度も厳しい時代に直面し乗り越えてきました。そのような中で長谷工の社員には昔から「継承されてきた」良いところがあります。それを私は長谷工DNAと呼んでいますが、目標を与えられると粘り強く、最後まであきらめずに何とかしようという気持ち、辛くても自分が何とかするんだという気持ち、自分の会社は自分で良くするという気持ちです。こういった気持ちを社員全員が共有してきたからこそ、会社を救い成長させてきたのだと思います。皆さんは職場の上司や先輩から多くの場面でこの長谷工DNAに接すると思います。是非、厳しいと思う場面でも、自身を成長させる機会と前向きに捉えて粘り強く挑戦し、この長谷工DNAを継承していって欲しいと思います。
今期よりスタートした中期経営計画「HASEKO Evolution Plan」に合わせて、新ブランドメッセージ「思いを、はせる。」を策定しました。長谷工グループの様々なお客様に思いをはせ「長谷工で良かった」とご満足を頂けることを仕事のやりがいと感じて欲しいと思います。
皆さんが一日も早く成長しグループの一翼を担う人材となって活躍されることを期待しています。
◆森ビル(株)社長 辻 慎吾氏
昨年、「麻布台ヒルズ」と「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」のほぼ全ての施設を開業させ、真に森ビルらしい「街」として軌道に乗せるべく、全部門・全社員が一心不乱に走り続けてきた。その結果、ようやく思い描いていた街らしくなってきた。同時に、森ビルに対する評価や信用、財務体力、ブランド力など、いずれもステージが大きく変わった。何よりも社員の成長を肌で感じており、「森ビルは新しい地平に立った」ということを実感している。
2つの新たなヒルズが誕生したことで、我々の戦略エリアには異なる個性を持ったヒルズが連なり、エリアの磁力が非常に高まっている。これらのヒルズをいろいろな形で繋げることができれば、新たな文化・経済圏としてのエリアのポテンシャルが誰の目にも見えてくる。ヒルズを繋ぐ要素は無限にあり、部門や施設の枠を越えて取り組んでいるところだ。さらに、推進中の「六本木5丁目プロジェクト」や「虎ノ門3丁目プロジェクト」が立ち上がってくれば、我々の戦略エリアはますますパワーアップすることは間違いない。こうしたダイナミックな仕掛けは森ビルにしかできないし、森ビルの未来、東京の未来を拓くことに繋がっていく。
現在のような不安定な時代においては、企業は成長するか衰退するかであり、現状維持が最も難しい。未来を拓くためには成長が最大のテーマだ。そして、その根幹にあるものが、私が経営の軸として最も大切にしている「森ビルらしさ」だ。社員ひとりひとりに「森ビルらしさ」が浸透し、組織の暗黙知として継承・発展できていることは、森ビルの大きな強みだ。
学生として外から観たヒルズと、森ビルに入社して、つくる側、運営する側になって観るヒルズとでは全く違う。どこが違うのか、どう違うのか、なぜ違うのか、何度も足を運び、自分の頭でとことん考え抜いて欲しい。そういう体験を積み重ねていくことで、物事を様々な角度から観たり、全体を俯瞰して観る力がついてくる。何よりも「森ビルらしさ」がどんなところから生まれているのかがわかってくるはずだ。共に挑戦し、共に成長しながら、東京を元気にし、人々をワクワクさせるような都市をつくり、育んでいこう。
◆中央日本土地建物グループ(株)代表取締役社長 三宅 潔氏
今年度は当社グループで手掛ける大型開発のうち「淀屋橋」「田町」が竣工を迎え、新たな成長ステージに入ります。これからも持続可能な社会の実現に向けて、絶え間ない挑戦を続けていきます。その歩みを皆さんとともに進めていきたいと考えています。
本日は、新たに仲間となる皆さんに、当社グループが大切にしている3つの心構えをお伝えします。
1つ目は、「常に未来志向で自立性を高く持つこと」です。
不確実性の高い時代だからこそ、高い視座で未来を見据える必要があります。世の中の変化の裏には必ず新たなニーズが生まれます。そこにアンテナを張り、自分なりの考えと判断を持って行動してください。
2つ目は「スピード感をもって、自ら動き、挑戦すること」です。
当社グループには、若手社員にも積極的に仕事を任せる風土があります。皆さんの柔軟な発想で新しい価値を創造してください。必ず、それを支える上司や先輩がいます。
3つ目は「誠実と信頼」です。
不動産業は、社会と人々の生活を支える重要な基盤です。その信頼を得るには、「現場」「現物」「現実」の三現主義が不可欠です。誠実な姿勢と相手を尊重する精神で、自然と人が集まる信頼される人間性を磨いてください。
これらの想いは、当社の企業理念「人と社会に安心と感動を。ともに考え、ともに創り、ともに未来へ。」に表れています。一人ひとりが不動産のプロフェッショナルとして成長されることを期待しています。会社として、皆さんの挑戦と成長を全力でサポートすることをお約束します。
ともに、新しい価値の創造に向けて歩んでいきましょう。
◆森トラスト(株)代表取締役社長 伊達 美和子氏
みなさん、ご入社おめでとうございます。
森トラストグループの一員となるみなさんを心より歓迎いたします。
森トラストグループは、中長期ビジョン「Advance2030」を発表し、「Create the Future」のコーポレートスローガンのもと、不動産、ホテル&リゾート、投資事業の3つの事業を柱として展開しています。
事業環境においては、2024年は、日本を訪れる外国人観光客数が4,000万人に迫り過去最高となりました。今年もさらなる成長が見込まれています。
また、オフィス賃貸市況においても、コロナ禍の影響を受けて長らく続いていた空室率悪化が底を打ち、市況観は好転しています。
こうした中、森トラストグループのオフィス事業、ホテル事業ともに、3期連続で過去最高の売上、また営業収益全体でも過去最高となる見込みです。このように大変好調な事業環境下で、皆さんをお迎えすることができ、大変うれしく思います。
しかしながら、世界を見渡せば、米トランプ政権による関税政策の影響が顕著になり始めています。為替変動や資源価格の上昇による物価高が起き、経済情勢は日々変化しています。国内でも、好調であった株価は、アメリカの個人消費の指標悪化の影響を受け大幅に下がる局面となり、不確実な状況にあります。
観光分野においては、世界的に旅行需要が伸長しており、日本の観光業界も好調が見込まれるものの、為替の影響を受けることや、深刻な人手不足の影響などがあり、需要と供給のアンバランスが起きています。不動産開発においては、新規ホテル、住宅、オフィスへの投資ニーズはあるものの、建築費の急激な高騰が顕著な状況にあり、選択を迫られる場面は少なくありません。また、企業全般に、デジタル化、脱炭素化、サプライチェーンの強靭化に向けた新たな取り組みも求められています。
つまり、私たちが働くフィールドは、常に変化しており、直面する課題を解決していくための想像力と挑戦力を活かし、創意工夫することが必要とされているのです。
当社に入社されたみなさんには、こうした不確実性が高く、成長と挑戦が同時に起きる環境下において、未来を切り拓く力を発揮していただくことを期待しています。いま私たちが直面しているのは、世界的な経済の変動、テクノロジーの急速な進化、そして社会的な課題に対する、多様な挑戦です。挑戦できる環境は、チャンスとも言えるのではないでしょうか。
私たちは、変化の中にこそ、創意工夫のもと、成長のチャンスがあると考え、それを信じて進んでいきたいと思います。
「創意工夫」という言葉は、森トラストグループ創業者の森泰吉郎氏が日頃、言っていた言葉です。どんな時代にあっても、求められていくのは創意工夫です。みなさんもどうか心に留めて、日々の仕事に励んでいただきたいと思います。
さて、みなさんは、今日から社会人の第一歩を踏み出します。
みなさんにとって、最初の一歩は、学び、観察し、そして自分の考えを形にすることです。仕事を通じて専門的な知識を深めることも重要ですが、大切なのは常に疑問を持つということです。ぜひ、なぜその方法なのか、別の方法があるのではないか、といった柔軟な発想で問題解決能力を磨く努力をしていってください。挑戦し続けることが成長への鍵です。
みなさんと働く日を楽しみにしています。新しい挑戦に向けて、共に歩んでいきましょう。
改めて、本日はおめでとうございます。
◆三菱地所レジデンス(株)代表取締役 社長執行役員 宮島正治氏
当社は三菱地所グループの基本使命である「まちづくりを通じて社会に貢献する」ことを実現するため、お客様から選ばれ続ける質の高い住まいづくりに取り組んでいる。さらに多様化するライフスタイルに応えるため、これまでに培ったノウハウを生かし、様々なアセットを通して、お客様に快適な暮らしを提供している。
社会や当社の事業環境は絶えず変化しているが、その中で求められているのは資産価値の高いマンションだと感じている。「手放したくない」、そうお客様に思っていただける住まいづくりを行いたい。
近年は立地や仕様だけでなく、環境配慮や防災など、建物における社会的意義が住まいに求められている。当社としてはZEHの標準化や太陽光発電システム「soleco」の導入等を継続し、CO2排出量削減に努めるとともに、コンクリート型枠合板のトレーサビリティ確保など業界に先駆けた取り組みを進めている。また、防災については居住者の皆様との防災訓練やオリジナル防災ツールの一般公開などを通じて、災害時に地域の方々が迅速に対応できるよう、防災力強化のための活動を行っている。
今後もあらゆるステークホルダーから選ばれ続ける企業であるために、当社では「Try for happiness」というスローガンを掲げ、積極的な「Try」を推進している。皆さんにも、お客様や社会の幸せについてとことん向き合い、挑戦をしていってもらいたい。
本日から同じ職場の仲間として働いていけることを嬉しく思っている。これからの三菱地所レジデンスを一緒に盛り上げていこう。
◆東急グループ 代表(東急(株)取締役会長) 野本弘文氏
【縁を大切にし、自ら考えチャレンジすることで大いに成長しよう】
東急グループは、創業から100年以上、交通事業をはじめ、建設、不動産、生活サービス、そしてホテル・リゾート事業など、お客さまの生活に密着した幅広い分野で事業を展開しています。また、海外事業においても年々広がりを見せています。
創業者の五島慶太翁は「自分が現在携わっている仕事については、常に第一人者となるよう努力することが大切」という言葉を残されています。皆さんはこれから研修を受け、それぞれの部署に配属されると思いますが、必ずしも最初から希望する仕事に携わることができるとは限りません。配属先を見て、単に「運がよかった」「運が悪かった」などと一喜一憂しないでいただきたい。本当の運は与えられるものではなく、自らの行動で引き寄せるもの、誰かが運んでくるものともいえます。会社との出会い、仕事との出会い、仲間との出会い、これからも多くの出会いがありますが、これらの出会いや縁を大切にすることで、運を引き寄せてほしいと思います。
皆さんは、これからいろいろな仕事に従事すると思います。どのような仕事でも、これは「何のためにやるのか」「なぜそうしなければならないのか」「もし自分が上司だったら」「もしお客さまだったら」といったように、自ら考え行動し、いろいろとチャレンジしていただきたいです。うまくいかないときも、それを失敗したと諦めるのではなく、貴重な経験として前向きに学び、自らの成長へとつなげることが大事です。経験は想像力を豊かにし、リスクに対する対応力、クリエイティブな創造力が鍛えられます。
いま、渋谷では100年に1度と言われる開発が進行中です。昨年には、渋谷サクラステージ、渋谷アクシュが開業し、現在も、この会場隣のShibuya Upper West Projectをはじめ、いくつものプロジェクトが進行中です。2030年頃までには、渋谷駅周辺もおおむね完成し、今以上に世界から注目される渋谷になると確信しています。
どのような事業であっても、一人の力だけで進めることは難しく、同じ思いを持って行動する仲間がいて、初めて実現が可能となります。そのためにも、いろいろな分野の勉強はもちろん、多くの経験をし、先輩や上司、仲間達とコミュニケーションを積極的にとり、多くの理解者や応援団を作ってほしいと思います。
「夢」や「希望」は誰でも持つことはできますが、強い「志」を持って、自ら考え行動していかなければ決して「夢の実現」はありません。ぜひ将来に向けて「夢」を持ち、その夢を実現するために具体的な行動につなげてください。そして、皆さんのいくつかの「夢の実現」が世の中にとって必要とされるものであり、東急グループの発展にも貢献するものであってほしいと願っています。
◆(株)西武ホールディングス 代表取締役社長 兼 COO 西山 隆一郎氏
西武グループは、お客さまの日常、非日常の生活のステージを提供し、人々に夢と希望、感動を提供する幅広い事業を営んでいます。日々の仕事を進めるうえでは、ビジョンをしっかりと持つことが大事であり、「でかける人を、ほほえむ人へ。」をスローガンとしたグループビジョンをみなさんの目指すゴールとして、共通の行動の拠り所としてください。そして皆さんの人生における、それぞれの夢、ビジョンも大切にしてください。
西武グループは昨年5月に発表した西武グループ長期戦略2035に基づき、ありたい姿(アウトカム)として「Resilience&Sustainability -安全・安心とともに、かけがえのない空間と時間を創造する-」を掲げ、次なる成長ステージに向けた改革の真っただ中にあります。若い皆さんの発想、行動力、バイタリティが必要であり、頼りにしていますし、その馬力に大いに期待しています。