大和ハウス工業(株)は9日、事業施設事業計画説明会を開催。同事業は物流施設をはじめ、生産施設・工場、公設卸売市場の再整備といった幅広い分野で建築請負・開発を展開している。説明会では、同事業の現状と今後の展開について同社ビジネス・ソリューション本部建築事業本部長・更科雅俊氏が説明した。
建築請負、開発を合わせた2024年度の同事業の実績は、売上高1兆3,697億円(前期比5.5%増)、営業利益1,596億円(同29.5%増)。請負工事では建築費高騰に関する発注元の理解が進んだことで採算は改善したことに加え、物流施設を中心に開発物件の売却も堅調に進んだことから増収増益となった。25年度については、技術者不足の影響で開発物件売却を抑制、売上高1兆3,330億円、営業利益1,460億円と一服する計画。
今後は、物流施設開発を強化していく。24~29年の5年間で延床面積約330万平方メートルの開発を計画しており、その規模は業界でもトップクラス。用地仕入れも完了しており、「さらなる用地仕入れも進めており、今後の計画の上振れも視野に入れている」(更科氏)。今後も、全国で最低でも年間20万坪規模をコンスタントに仕入れていく方針だ。
開発する物流施設は、地域交流を重視しサスティナブルな運用を行なう「次世代型」施設を志向。22年1月に竣工した「DPL江東深川」(東京都江東区)は、内装を入居テナントである(株)ビームスホールディングスが担当し、エントランスホールを地域とのコミュニケーションスペースとして家具を配置するなど、憩いの空間をしつらえた。定期的にイベント等を開催し、地域住民向けのビームスの販売会を行なうなどといった活動を行なっている。また、「DPL千葉四街道II」(千葉県四街道市)は敷地内に従業員向けのバスケットコートやランニングコースを設置するほか、地域住民が利用できるマルチコートなども整備した。今後は近隣の商業施設との連携も検討していくという。
物流施設以外の事業施設については、データセンター開発を本格的に事業化していく計画。25年4月1日には同社ビジネス・ソリューション本部内にデータセンター事業本部準備室を開設した。今後、開発用地の取得を推進し、データセンター開発のノウハウを蓄積していく。「なるべく早くに年間売上高400億~500億円の事業に育てていきたい」(同氏)。