空き家・訳あり不動産の買取再販サービス「ワケガイ」等を展開する(株)ネクスウィル(東京都港区、代表取締役:丸岡智幸氏)は9日、「『共有持ち分』に関する訳あり不動産実態調査」結果を発表した。
「訳あり不動産」とは、相続や権利関係の複雑さなどにより、売却や活用が難しい不動産を指す。その代表例の一つとして、「共有持ち分付き住宅」を挙げている。調査対象は、全国40歳以上の男女1万1,199人。調査期間は6月26日~7月6日で、(株)モニタスが調査を行なった。
それによると、40歳以上の家計主世帯における3,112戸の現住戸の持ち家数のうち、共有持ち分付き住宅が全国で845万戸に上ることが分かった(令和5年住宅・土地統計調査に今回のリサーチで得た結果を乗じ推定した結果)。そのうち、現住戸が612万戸、現住戸以外が233万戸と、現に居住しているケースが大半を占めた。共有持ち分付き住宅は、特に東京・神奈川・大阪・愛知・兵庫といった大都市圏に集中しており、都市部における「隠れ資産」としての存在感が際立っている。
また、「共有持ち分の住宅や土地を売ることができる」と認識している人は全体で16.5%にとどまり、その所有者に限っても3割程度だった。相続後に必要となる手続きや、手続きを行なわなかった場合に起こり得るリスクにおける理解も2割程度。同社は、「このまま認知が進まなければ、権利関係が曖昧な“訳あり不動産”が増える恐れがある」とした。
共有持ち分に関する悩みとして最も多かったのは、「税金や管理費用などの費用負担があること」(46.7%)。「共有者との関係が良くない」「一部の共有者だけが使用しており、自身にメリットがない」「共有者の所在や連絡先が不明である」といった問題は、年代が下がるほど高い傾向。
一方で、実際に専門家へ相談した経験がある人はごくわずかで、「相談したことはない」との回答が88.7%を占めた。相談先としては、「司法書士」(3.7%)、「税理士」(2.9%)、「不動産会社」(2.8%)が上位に挙がったものの、所有者に限定しても「相談経験なし」が8割超に。相談する・できるという意識や習慣自体が根付いていない現状が浮き彫りとなった。