大東建託(株)は22日、不動産取引のDX普及に向けた取り組みについての記者説明会を開催。同社グループの(株)キマルーム代表取締役社長・藤井志郎氏が、電子契約の状況、賃貸借契約における課題と解決策、今後の展望などについて説明した。
2022年5月の宅地建物取引業法改正により賃貸借契約の電子化が全面解禁されたが、不動産取引における電子契約の普及は限定されている。同氏は、国土交通省が実施した宅建業5団体の会員企業を対象とした調査結果を基に、「『紙の契約書をキャビネットで保管』している事業者が64.7%に及び、依然として紙中心の運用が主流。また、電子契約や管理システムの導入について過半数の企業がDXの進展を実感できていない」と述べた。
それを踏まえ、賃貸借契約における課題として、(1)重要事項説明や契約締結が対面に依存、(2)書面手続きの煩雑性や紛失リスク、(3)DXツール乱立による利用上の難易度、(4)コストパフォーマンスを挙げ、それぞれに解決策を提示。(1)(2)では、IT重説・契約書類の電子化、契約書類の電子作成・押印・保管を推進すること、(3)(4)については業界標準を目指し、仲介会社・管理会社の双方が迷うことなく使用できる設計とし、システムの利用料も分かりやすく設定することが必要とした。
同社では、24年7月から賃貸取引に特化した電子申し込み・契約サービス「キマルーム 電子申込」「キマルーム 電子契約」を提供しており、25年12月時点で利用拠点が2万3,000ヵ所を突破している。「DX推進は業界全体の課題と捉えている。今後は、社宅代行会社との連携により法人電子契約の実現や、多言語対応を進め外国籍入居者の利便性向上にも力を入れていく。新機能開発やサポート体制の強化を通じ、システム運用の浸透と現場担当者の負担を軽減できれば。30年までに現在の3倍となる7万ヵ所での利用を目指す」(藤井氏)。
