(一財)ひと・住文化研究所(代表理事:鈴木靜雄氏・(株)リブラングループ創業者)は13日、ホテルメトロポリタン(東京都豊島区)で、2025年10月に出版した「思想なきマンション」(鈴木静雄氏、船瀬俊介氏、本多信博氏共著)出版記念シンポジウムを開催。約100名が参加した。
同書は、戦後の住宅政策や住まいづくりに警鐘を鳴らしつつ、真に求めるべき「住まいの質」と、事業者が持つべき「思想」を提言したもの。
シンポジウムでは、同書の著者で地球文明批評家の肩書を持つ船瀬氏が基調講演した。同氏は「戦後の日本では、木の家を建てなくなった。家の中は新建材であふれ病気になる。体が冷え冷えとしてくる。“休む”という字は人が木に寄り添っているさまを表している。住まいに必要なのはナチュラルとシンプル。余計なデザインは要らない。気象や温度湿度に注意を払い、自然素材で作るべき」などと説いた。
続けて、パネラーに鈴木氏、船瀬氏、日本医師会元副会長の今村 聡氏、同書著者で住宅評論家の本多氏をコーディネイターに「今後のマンションの展望~人生100年時代を笑って楽しく生きるための住まい」をテーマにディスカッションした。今村氏は「健康寿命を延ばすためには、医療や運動、食事に加え住宅という生活環境が大きな影響を与えていることがデータでもはっきり出てきた。事業者も投資や投機ばかりではなく、住環境についてもっとアピールしていくべき」とし、船瀬氏も「ドイツには大学に建築生理学がある。日本では建築学の中で健康と切っても切れない関係の温度や湿度、日照、断熱、換気について何も学ばないのが問題」とした。
鈴木氏は「リブランのつくる住まいの判断基準は、住んで気分がいいか悪いかということだけ。事業者の都合で売りやすいものをつくるのではなく、そこを買った人たちがどういう暮らしができるかを考えてきた。コンクリートのマンションでも、部屋の中を木質化することはできる」と訴えた。また本多氏は「日本の住まいはダイニングとキッチンが同じ場所にあり、単なる食事を取るスペースでしかない。食事を楽しむ、近所の人を呼んで語らう場所であるべき」「日本の住まいから縁側が消えたが、交流の場としてマンションにも縁側があってもいい」などと持論を展開した。
