「月刊不動産流通」2005年5月号『ここが「ウリ!」わが社のビジネス』にご登場いただいた、(株)アドバンスネット。ほとんどインターネットのみで集客を行なっているという同社は、ペットと一緒に住む賃貸住宅の仲介・管理のパイオニア的存在だ。 ただペットの飼育が認められているだけの『ペット可』ではなく、『ペット共生型』を推進する同社の新築物件、「ルーチェ光が丘」(東京都練馬区、総戸数33戸)が今春竣工したということで、入居が始まりつつある4月9日、同物件を訪れてみた。
都内有数の大規模公園「光が丘公園」に隣接する同物件は、都営大江戸線「光が丘」駅徒歩15分、営団有楽町線「営団赤塚」駅徒歩13分、東武東上線「下赤塚」駅徒歩13分と3駅が利用可能な立地。とはいえ、いずれの駅からも徒歩10分以上と、最寄り駅までのアクセスの悪さは若干気になるところだ。事実、近隣の通常のアパートの場合、一度空室になると半年近く決まらないこともあるという。
しかしそれはあくまで通常の賃貸住宅の場合。ペットと一緒に暮らしたい人にとっては、緑豊かな光が丘公園すぐ側という環境が、他にはない圧倒的な付加価値となるのである。
「光が丘」駅を降り、公園を抜けて同物件に向かうと、桜満開の晴れた土曜日とあって、公園はかなりの人手。犬を連れた人もたくさん見受けられた。
建物は鉄筋コンクリート造地上6階建て、白を基調とした外壁に、上層階の淡いブルーのガラスがさわやかな印象だ。メインエントランスを入ると、すぐ左側に「クラブルーム」として使用するスペースがある。ここでは、定期的に動物病院などとの提携によるペットのしつけ教室を開催する予定だという。
裏出口のすぐ側には、ペット足洗い場を設置。隣りにフリスビーやリードなどを入れられるペットロッカーが各戸分用意されているのが嬉しい。
また、エレベーター内に「ペット移動中」を表示するボタンを設けたのも工夫のひとつ。ペットボタンを押すと、外でエレベーターを待つ人に、ペットが乗っているということが分かるようになっている。
共用部分のみならず、もちろん専有部分にもペットと快適に暮らすための工夫はたくさん用意されている。入口の飛び出し防止扉をはじめ、キズのつきづらい石目調ビニル床タイル、汚れにくいクロスなどを採用。腰見切りの壁クロスは、腰上は消臭効果の高いもの、腰下はひっかき傷が目立たない汚れにくいものを使い分けている。さらに巾木は、床との隙間に透明の防水テープを貼ることで、万が一「粗相」があった場合にも、ペットの尿が染み込まないよう配慮がなされている。
また、同社のHP会員のアンケートの中で、「ほしい設備」NO.1に挙げられたという専用のペットトイレスペースを廊下に設置した点もポイント。扉をつけて中が見えないようにするとともに、24時間換気とつながったダクトを取り付けた。リビングにも、オゾン式の空気清浄機を標準装備させ、ペットの臭い対策はバッチリだ。
内覧させていただいた部屋は、広めの1LDKタイプの302号室(61.71平方メートル、賃料132,000円、管理費10,000円)と同じ広さで2LDKタイプの307号室(賃料・管理費ともに同じ)。そして、最上階6階の、ルーフバルコニー付き3LDKタイプの605号室(105.9平方メートル、賃料230,000円、管理費15,000円)。
中でも605号室は、リビング前の広いルーフバルコニーが開放的で、ベランダから見える光が丘公園の景色や目の前の道路に植えられた桜がとてもキレイ。竣工前にすべて満室になったという人気の同物件の中でも、特に家賃の高い部屋から決まっていったというのもうなずける。
とはいえ、新築分譲マンションのほとんどがペット可となっている昨今、これだけの賃料を払うのなら購入したほうがいいのでは? という声もあるだろう。しかし、こと「ペットと一緒に暮らしたい」人の場合、「積極賃貸派が圧倒的に多い」と同社企画推進室室長・八重田かおり氏は言う。「ペット可だからと分譲を購入しても、管理がずさんだったり、入居者に意地悪をされたりと嫌な思いをしてしまい、結局賃貸住宅に戻ってくるケースもありますね」(同氏)。ペット共生型賃貸住宅の運営ノウハウに自信のある同社ならではのことかもしれない。
同地はもともと、古くからスーパーマーケットが営業していた場所。スーパーが建て替え時期だったことから、同社がオーナーである地主に、付加価値をつけたペット共生型賃貸住宅の建設を提案したのだが、スーパーとの交渉には5年もの歳月がかかったという。完成した物件の1階には再度、そのスーパーマーケットが入居、間もなく営業を再開するそうだ。
駅前は買い物スポットもあり、生活するには便利なまち。そして何よりも、緑豊かでペットと住むための環境が優れていることが、同物件の最大の魅力だ。さらにユーザーニーズを吸い上げ、形にした企画力が、竣工前に全室満室という結果に結びついた。
「まだ『ペット共生型』を待っている人がたくさんいる。さらに増やしていきたい」という同社の取り組みに、今後も注目していきたい。(せ)