記者の目 / その他

2006/1/18

賃貸住宅オーナーの取り組みを探る Part.7
「アリコート目黒」の場合…

 

 賃貸市場の激化を受け、賃貸住宅オーナーも入居者を獲得すべく、デザインに、設備に、間取りに…とさまざまな工夫を凝らしている。  今回は、Part.1でご登場いただいた安藤泉氏が、新たに賃貸物件「アリコート目黒」を建設したのでその新物件を紹介する。オーナーとして初めにとりくんだ「コンフォール目黒」の経営で得た教訓や蓄積知識を総動員した物件、と聞き、完成前だが見学させていただいた。

静かな住宅地になじむ「アリコート目黒」の外観
静かな住宅地になじむ「アリコート目黒」の外観
玄関にはこんなに大きなシューズボックスが!その下にはムード照明を設置
玄関にはこんなに大きなシューズボックスが!その下にはムード照明を設置
アイランド型キッチン。同質の蓋をすると、この上にまな板をおいたり、食事をしたりが可能に
アイランド型キッチン。同質の蓋をすると、この上にまな板をおいたり、食事をしたりが可能に
壁側設置タイプのキッチン。扉をすればこのようにすっきり。他にカウンターキッチンを設置した部屋もある
壁側設置タイプのキッチン。扉をすればこのようにすっきり。他にカウンターキッチンを設置した部屋もある
浴室テレビが設置された部屋も。なんて贅沢...
浴室テレビが設置された部屋も。なんて贅沢...
外構に設置された給水栓。こんなところにも女性オーナーらしい工夫が
外構に設置された給水栓。こんなところにも女性オーナーらしい工夫が

●「持ち家よりグレードの高い設備」

 東急目黒線「武蔵小山」駅から徒歩6分ほど。閑静な住宅地の中に、「コンフォール目黒」と並んで建つ「アリコート目黒」クリーム色の外観の同物件は、落ち着いた雰囲気を放っていた。「まだ完成していなくて、館名板もできていないんですよ…」と安藤氏は笑っていたが、落ち着いた目黒のまちになじむ、温かみを感じる物件である。

 約25平方メートルの1ルームが1フロア4部屋、RC造の3階建て、総戸数12戸からなる同物件の最大の特徴は、住空間の快適性を追求した、スペックの高さ、設備の良さにあるといえよう。
 エントランスはオートロックにカメラ監視付、またこの規模では珍しく宅配ボックスを完備。
 各戸の玄関は二重ロックで、カラーモニター付きインターホン付きだ。玄関には帰宅時に便利な人感センサーに、大型のシューズボックス、さらに大型姿見と足下にはムード照明まで備え付けられている。
 さらに昨今のセキュリティへの意識の高まりを受け、前記のオートロック・二重ロックに加え、1階居室の窓には、防犯フィルムも施工している。

 また同物件では、各フロア4戸という特徴を生かすべく、各室2面採光を実現、バルコニー側には開放感のあるコーナーサッシュを採用、天井高は2,520mmを確保した。「天井高は可能な限りで高くしました。単身向けということで床面積はどうしても小さくなる。高さがあれば空間が大きくなり、窮屈さがなくなりますから」(同氏)。
 IHクッキングヒーターは2口用を設置。単身者向けの物件でありながら、自炊に便利な仕様としている。ちなみにキッチンはアイランド型と対面キッチン型、すっきり収納型の3パターンを用意。 「個人的にはすべてアイランド型でもいいと思ったんですけど、『ちょっと冒険ではないか?』というアドバイスもあり、今回は両方設置してみることにしたんです。どちらの方が先に決まるか、楽しみなような、怖いような…」(同氏)。
 収納型キッチンのタイプは、キッチン、それに並ぶ収納部分に引き戸の扉がついており、扉を閉じてしまうと実にすっきりした大空間となる。天井が高いこともあり、部屋が広く感じられる効果も創出できている。

●バスには浴室テレビが!

 同氏の女性らしさが感じられる部分は、他にもある。各部屋に取り付けられた室内物干しの採用や、アイランドキッチンの同質素材による蓋の用意などだ。
 女性の単身者の場合、外に洗濯物を干すことに非常に抵抗を覚える方が多い。室内物干しはあると非常に便利な設備だろう。また、アイランドキッチンの蓋も、まさに料理をする女性ならではのアイデアではなかろうか?「キッチンと同質の、人工大理石で作成しました。蓋をしてしまえばフラットになるので、この上で調理準備をしたり、食事をとったり、ということもできるのではないかと思っているんです」(同氏)。

 バス・トイレはもちろん別、フルオートバス・浴室乾燥機は標準装備。さらに1階および2階・3階の北西の部屋には、浴室テレビまで備え付けられている。トイレはタンクレスで、自動洗浄機能付き温水洗浄便座だ。「ちなみに私の自宅には、浴室テレビはないし、自動洗浄のトイレではありません」と同氏は笑って説明してくれた。

●快適性とキャッシュフローを重視した物件

 安藤氏にとって2棟目となる同物件だが、今回の物件企画にあたっては、「入居者の快適性とキャッシュフローに重きを置いた」(安藤氏)とのこと。1棟目のコンフォール目黒は40平方メートル超ということから、単身というより新婚を中心とした2人入居が多い。「コンフォールのお客さまと競合しないこと、そして利回りの良さから単身向け物件に決定。また長期的に入居者が確保できるよう、快適性を高めることに力を入れました」(同氏)という。
 今回は不動産会社に一括でサブリースするとのことで、「入居者決定についてはノータッチなんですが、結構引き合いが来ていると聞いています」(同氏)とのこと。
 ちなみに物件の管理については、コンフォール目黒で培った経験を基に、安藤氏自らが行なうとのことだ。「その分、サブリースの借り上げ契約賃料を上げていただきました」(同氏)微笑む安藤氏に、オーナー業を成功させるポイントを教わった気がした。(NO)

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