シニアレジデンス第2弾「藤が丘」がオープン
東急不動産(株)が、高齢者住宅事業を加速させる。同社は03年、高齢化住宅事業の運営会社(株)イーライフデザインを設立。04年、健常者向け住宅「グランクレールあざみ野」(横浜市青葉区あざみ野)と提携介護施設「グランケアあざみ野」(横浜市青葉区新石川)を開業。運営実績を積んできた。それらを反映させたのが、8月10日に開業する「グランクレール藤が丘」。今後も、東急沿線にエリアを絞り、施設バリエーションも増やし、地域密着での事業展開を図るという。最新物件の「藤が丘」を見学してきた。











健常者向け住戸とケア施設との複合化図る
高齢者住宅事業第2弾となる「グランクレール藤が丘」(横浜市青葉区藤が丘)は、東急田園都市線「藤が丘」駅から徒歩2分。住宅地の中心に立地する「あざみ野」と正反対の、駅前商業施設に隣接する利便性の高さが売り。これが分譲マンションであれば、大人気となるのは間違いない立地だ。建設地は、旧神戸製鋼の社宅跡地で、土地を賃貸し、建物を共同で建設。イーライフデザインにより運営される。
建物は、地下1階・地上5階建て。「あざみ野」は、健常者向け住宅とケア施設とを分けていたが、「藤が丘」では同じ建物内に併設。健常者向けの「シニアレジデンス」を80戸、ショートステイにも対応する「ケアレジデンス」を48戸用意した。建物を複合化することで、入居者の状況に応じ柔軟な「住み分け」を可能とした。一方で、入居者のプライバシー保護と性質の違う2施設のオペレーションという観点から、施設内の生活エリアはレジデンスタイプごとに区分。入居者は、支給されるICカードにより生活動線を分けられ、快適な生活を送ることができる仕組み。
「億ション」もびっくりの贅沢な作りと充実のソフト
「グランクレール」シリーズは、田園都市線沿線の富裕層をメインターゲットとしている。そのため、第1弾の「あざみ野」もそうだったが、「藤が丘」も極めて贅沢な作りとなっている。
エントランスロビーには大理石が敷き詰められ、フロントの向こう側のホールは、家具・調度品すべてが高級ホテルのようなしつらえだ。1階と2階の一部に、共用施設が集中している。「あざみ野」の入居者の声を企画に反映。「映画鑑賞の機会が多かった」ことから、AVルームを設置。各種会合が行なえるホールには、バーカウンターのようなティーラウンジが併設されている。2階には、初めての試みとなる「温泉浴室」を設置した。
住戸は、プライバシーを重視した「全室個室プラン」。介護保険基準を上回る入居者2名に対して1名以上のケアスタッフが24時間常駐。安全面を重視し、ICカードで出入りの管理徹底をしている(たとえば、温泉浴室で入室後1時間以上退室処理がなされない場合は、スタッフが急行する)。また、併設するクリニックや周辺の医療施設との医療支援体制を構築している。(株)東急スポーツオアシスと早稲田大学エルダリーヘルス研究所、早稲田エルダリーヘルス事業団と連携で研究・開発した、オリジナルの介護予防プログラムも提供する。太極拳や体操など高齢者が簡単に取り組めるプログラムにより、筋力維持の向上、転倒危険因子の減少、精神・社会的生活機能の向上を図るというもの。
建物内部は、中級グレード以上の分譲マンションのそれに、加齢・ユニバーサルデザインを意識した作り込みがされている、といった印象。内廊下は、有効幅1,400mmを確保。各住戸の玄関前にはニッチと収納、ベンチを設置している。「あざみ野」では通常のヒンジ扉だった玄関は、今回引き戸としている。また、建物のいたるところに、車椅子でも回覧できるガーデンが設けられている。
自立健常者向けの「シニアレジデンス」は、専有面積31~67平方メートル、ワンルームから2LDKを用意。キッチンや浴室・トイレなどは、車椅子でも充分転回が可能なスペースを採り、キッチン・全居室に床暖房を設置。サッシュはフルフラットタイプ。室内の扉は、すべて引き戸とするなど、徹底的にユニバーサルデザインの設計がなされている。
一方の「ケアレジテンス」は、専有面積18~36平方メートルの1R・1LDK。1LDKタイプは、ワンルーム住戸をつなぎ合わせ、スパン6.2メートルと開放感を持たせている。浴場での介助入浴を前提としているため、浴室を省いた大型の洗面室・シャワールームを設置。介護用ベッドを標準装備している。また、方位による値段格差をつけていない分、北側の部屋は備品を充実させるなど配慮がなされている。
フローリングやドアの建具、クロスは、4パターンからセレクトできるなど、分譲マンションなみに入居者の好みが反映できる。どちらかといえばシックな趣があった「あざみ野」と比較すると、「藤が丘」のほうが、よりアクティブシニア向けのカジュアルな作りと感じた。同社によると、建物仕様は「藤が丘」のほうが上、なのだそうだ。
ちなみに、「藤が丘」は2名対応の居室が多いが、多くの購入者は、そうした居室を1人でゆったり使うそう。入居に際しても、手持ちの不動産を売却するユーザーはほとんどいないそうである。なんともうらやましい話だ。
ライフスタイルに合わせた住み替えを可能に
「藤が丘」では、入居時一括払いの終身利用プランに加えて、新たに月額払いプランを導入。入居年齢別の料金設定により、年齢による不公平感をなくしている。さらに、今回から「住み替え制度」も導入。入居者の加齢やライフスタイルの変化に応じて、同一施設内での移り住みが簡単に行なえるほか、将来、同社による新たな施設ができた場合、ライフスタイルの変化に合わせ、異なる施設への移り住みも可能にした。
例えば、シニアレジテンスの場合、南向き3階の310号室(1LDK・55.22平方メートル)の終身利用価格が、入居時年齢75歳の場合は5,020万円、80歳の場合は4,304万円と変化。さらに、入居時1,200万円を積めば、月額19万9,000円で生活ができる。「シニアレジデンス」「ケアレジデンス」とも、7月末の取材日時点で、半数以上に申し込みが入っていた。
同社は、高級路線の「グランクレール」はキープコンセプトで展開する一方、田園都市線沿線でのシニア向け物件の展開を加速させる。すでに、青葉台、たまプラーザでシニア向け住宅を着工。年度内には販売を開始する。今後は、サービスメニューを絞り込み価格を抑えた高齢者向け住宅もメニューに加え、1・2駅圏にケアレジデンス1つ、シニアレジデンス2・3つを展開。在宅シニアの移り住み、シニアレジデンスからケアレジデンスへの移り住みといった地域密着型のビジネスモデルを構築していく。(umi)