プレ協、人気の郊外型開発を紹介
(社)プレハブ建築協会が報道機関向けに実施した視察会で紹介された団地を2回([1]、[2])に渡って紹介してきたが、今回はいよいよ最後の物件を紹介する。




相模湾を望むオール電化のまち
京浜急行「京急ニュータウン湘南佐島なぎさの丘」
最後に紹介するのは、京浜急行(株)の「京急ニュータウン湘南佐島なぎさの丘」(神奈川県横須賀市)だ。この団地については、07年2月に当コーナーで紹介しているので、今回はごく簡単に紹介したい。
同団地は、京浜急行逗子線「新逗子」駅からバス29分、総開発面積約41ha、計画戸数667戸(うち一戸建て626戸)の大規模ニュータウンだ。開発地は、京浜急行が1961年に取得していたもので、取得から開発まで40年という超ロングスパンのプロジェクトである。
開発地は、佐島漁港と相模湾を臨む南傾斜の高台で、海好きにはもってこいの立地(実際に海が見える住戸は2割に過ぎないが)。すでに、スーパーマーケット、クラインガルテン(住民農園)、ドッグラン等が開設されているほか、今後数年以内にクリニックや介護施設、高齢者向け居住施設など商業ゾーンを中心に整備を進められ、永住型のまちづくりが行なわれる。
街区は、「自分の家の庭や道路は、お隣さんにとってのリビングの借景である」という「ソーシャルリビング」の考え方を導入。擁壁を排除し斜面緑化を図ることで、環境・景観に配慮した。まちへの出入口から警備の拠点であるセンターゾーンへ車を導く動線と、警備会社による街中警備の実施により、タウンセキュリティを実現している。
建物は、積水ハウス(株)、大和ハウス工業(株)、パナホーム(株)、トヨタホーム(株)、京急不動産(株)によるもので、すでに40戸あまりが販売済み。東京電力によるインフラ整備で、全戸オール電化としている。また、標高の高い街区については、電線も地中に埋設されたすっきりとしたまち並みだ。
住戸は、土地価格の安さを生かし、設備仕様を高めている印象。敷地面積175~192平方メートル、建物面積125~187平方メートル。販売価格は、 4,627~5,290万円。すでに、40区画で販売・入居が進んでいる。販売は、向こう5~6年かけてじっくり行なっていくという。マンション街区も造成中だ。
記者はこの団地をすごく気に入っており、2002年の造成開始時、07年の販売開始時、そして今回と3回取材し、プライベートでもこっそり見に来ている。現役世代がロハスライフを満喫するのもいいが、リタイア世代が老後を楽しむにはもってこいだ。ちなみに、これまでの購入者のうち、2割がセカンドハウス利用だという。
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今回、3つの団地を見学して、改めて「郊外戸建団地は、“終の棲家”の王道」と実感した。管理が行き届いたマンションは確かに快適だが、今回見学したすべての団地では管理組合が組織され、快適な住空間が長年にわたり維持される。セキュリティレベルも高い。若いうちに気に入ればすぐ買えばいいし、歳老いてから移り住んでも、決して遅くはない。マンション暮らしにはない魅力が、そこにはある。
‐終‐ (J)
【連載記事一覧】
・郊外戸建の魅力を探る(1)
・郊外戸建の魅力を探る(2)