さらなる「専有部サービス」強化に乗り出した(株)大京アステージ
近年、共用部分の管理から、居住者の住生活全般をサポートする「サービス業」としての要素が管理会社に求められている。そんななか、「共用部管理オンリー」からいち早く脱却し、2008年春より専有部サービスを本格的にスタートさせたのが(株)大京アステージ。これまでに、マンショントータルセキュリティサービス「セキュアプラス」や、住まいに関する困り事を解決する「住まいるレスキュー」、リフォームや暮らし全般の相談に応じる「コンシェルジュサービス」などを提案してきた。 同社はこのほど、管理する既存マンションにおいて、居住者向けサービスの拡充を目的に2つのイベントを行なった。キーワードは「高齢化」と「コミュニティ」。その内容を紹介したい。






「高齢化」-介護・医療機関との連携
「ライオンズガーデン鶴巻温泉」(神奈川県秦野市、総戸数98戸)は、小田急線「鶴巻温泉」駅徒歩7分に立地する築17年のマンション。ここ数年、同マンションでは居住者の高齢化率が高まり、親の介護問題が現実味を帯びてきたという声が多くなっていた。
居住者の高齢化問題は、遅かれ早かれどのマンションにも訪れることで、避けては通れない。そこで同社は、介護や医療機関との提携サービスを通じた「安心・安全体制」を構築し、将来的な安心感を居住者に提案する方針を打ち出した。
具体的には、マンション近隣にあるセコムグループの医療・看護・介護の高齢者複合施設「あじさいの丘」と協議し、介護についての電話・対面相談や、高齢者住宅の優先入居などについて、同マンションとの提携を実現させた。ちなみに、電話・対面相談は無料となっている。
提携内容には、年に1回程度の開催を予定している「健康セミナー」も含まれており、このほど、同じくセコムグループが運営する「鶴巻温泉病院」の院長・鈴木龍太氏による「健康サポートセミナー」が開催された。テーマは「脳の健康と脳の病気」。脳卒中や脳梗塞、くも膜下出血などの病気の説明や、「こんな症状が出たら危ない!」という具体例を挙げながら、参加した9名のマンション居住者に対し脳の病気についてレクチャーした。
「居住者の身近にいる管理会社として何ができるか。そう考えたとき、将来的な不安を少しでも取り除いて差し上げられるサービスが不可欠だと思いました。医療機関とのつながりを持っていれば、居住者の方々に安心していただけますし、いざという時でも慌てず迅速な対応を取れるのではないでしょうか」(同マンション担当者)。
同社が管理するマンションは、全国で約6,600棟、35万世帯にのぼる。今回の取組みは同マンションが初。提携サービスの内容については、随時見直していく方針だという。今後ますます高齢化が進んでいくことを鑑み、同マンションを皮切りに、介護・医療機関との提携を進めていく方針だ。
「コミュニティ」-居住者間のつながりを創出
JR総武線「平井」駅徒歩11分に立地する「亀戸レジデンス」(東京都江東区、総戸数707戸)は、ファミリー層をターゲットとした大規模マンション。旧中川に隣接、公園や自然が多く、マンション内には認可保育所や学童クラブなども設備していることから、子育てに適している環境といえる。
とはいえ、約700世帯が暮らす大規模マンション内でコミュニティを活性化させるのは容易なことではない。そこで、居住者向けサービスの拡充と合わせ、コミュニティ形成を支援する目的で同社が管理組合に働きかけ、昨年末に開催したのが野菜即売会「マルシェ」と「不用品出張買取りサービス」だ。
「不用品出張買取りサービス」は、09年9月に千葉県船橋市のマンションから始めたもので、居住者から好評を得ている。今回も、居住者から多くのニーズが寄せられたことから実現に至った。
「マルシェ」では、長野県、山形県、千葉県などでつくられたリンゴ、シイタケ、サツマイモなど、新鮮な果物や野菜がズラリと並んだ。また、地酒や子供が喜びそうな生ジュース類も販売。イベント出店参加者は、プランター菜園7組(9人)、朝9時30分の開始と同時に会場を訪れる家族連れで賑わい、70組・約140人が来場したという。
一方「不用品出張買取りサービス」は、(株)トレジャーファクトリーが会場入りし、49世帯が利用した。通常は、居住者が不用品を持っていくと査定・買取りするのだが、家具や家電などの大物は各住戸での査定も可能。手軽で便利ということで、イベント開始から絶え間なく居住者がブースを訪れ、あっという間に夕方まで予約でぎっしりの状態となった。
会場のあちらこちらでは、複数の家族連れが輪になって会話をしたり、子供同士が遊んだりする光景が見られた。居住者間で良好なコミュニティ関係を築けていれば、日常生活の円滑化はもとより、マンション内での高齢者支援、防犯や防災対策、ひいては地域との連携につながる。
同社は今後も、こうしたイベントを通じて住民間のコミュニティ形成を支援していく方針。今年は、400戸以上の大規模マンションに対し積極的に提案して開催する予定だ。(I)
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