記者の目 / その他

2025/4/11

開幕直前!大阪・関西万博、「未来」を体感してきた

 4月13日、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)が大阪市此花区の夢洲で開幕する。開幕を間近に控えた9日には、「メディアデー」と称して国内外のプレス関係者向けに各パビリオン等が公開された。当日、現地を訪れた記者が、その様子をリポートする。

開幕間近の万博。9日のメディアデーには国内外4,500人もの報道陣が訪れていた。

 不動産業界関連の展示については4月10日のニュースで掲載したので詳細は割愛させていただくが、(公社)全日本不動産協会(全日)と、飯田グループホールディングス(株)(飯田GHD)の展示はそれぞれ違った見ごたえがあった。全日は地域に根差した中小事業者の団体らしく、未来の都市像についてローカルな視点で描き、また飯田GHDは産学共同研究による未来の都市の資源やエネルギーに関する考察を具現化しており、どちらも住宅・不動産業界にいる人たちだけでなく、都市や地域で生活する広範な人たちの興味を引きそうなものだと感じた。本コラムでは、ニュースでは書ききれなかったことを中心にリポートしたい。

◆「25年後の自分」のアバターを生成

 全日がブースを出展している「大阪ヘルスケアパビリオン」は大阪メトロ「夢洲」駅に一番近い「東ゲート」近くに位置し、「リボーン体験」を提供している。アプリで登録を済ませると、「カラダ測定ポッド」という小部屋で、目の前の画面の指示に従いながら心血管や筋骨格、髪、肌、脳などの健康データを測定。ちなみに筆者は健康にあまり自信はないのだが、測定結果はおおむね問題はなかった。ただ、なぜかいままで問題なく過ごしてきた「脳」の評価が「D」で少し焦った。そして、その測定データを基に、「25年後の自分」のアバターを生成してくれる。現在47歳の自分の25年後は72歳、アバターはなかなかのイケオジである。

現在47歳の記者の「25年後の姿」がこれ

 その後は、栄養や身体に関する未来のヘルスケアを体感。モニターに映し出された「目指したい未来」を選択すると、先ほどの測定データとを組み合わせて分析され、必要な栄養が含まれた健康食品がもらえる(ちなみにもらった健康食品は翌日会社で同僚にあげてしまった。調べてみたら脳のためになる成分が含まれているとのことだったので、自分で食べればよかった気がする)。これ以外にも卵の殻から作った新繊維や、厄介者とされている二酸化炭素を資源化する仕組みの紹介など、さまざまなプログラムが用意されている。

◆「未来の都市」を体感

 続いて訪れた会場の最も西に位置する「未来の都市」パビリオンでは、(株)日立製作所やKDDI(株)、川崎重工業(株)、(株)商船三井といった国内を代表する企業など13者が集まり、未来社会を体感する没入型のアトラクションを展示している。

 シアターでは、「未来は自分たちで変えられる」をコンセプトに、未来の課題に対する解決策を来場者たちがスマートフォンを使って自ら選択し、その結果に応じて未来の都市が変化するゲーム感覚のアトラクションを提供。また、四足歩行のオオカミ・ライオンのような形をしたオフロードパーソナルモビリティ「CORLEO(コルレオ)」や、1970年大阪万博の翌年に誕生した水陸両用ブルドーザーをベースにしたコンセプトマシン、未来を想定した農業用ロボットなども展示されている。こうした展示は来場者の高揚感が期待できそうだ。実際、自分自身もだが、ほかの記者からもワクワク感が伝わってきた。

 このほか、今回の目玉展示の一つである(株)SkyDriveによる「空飛ぶクルマ」の無人飛行実験が行なわれ、前記した未来の都市パビリオンに隣接したヘリポートで約4分間、離陸・ホバリング・着陸を行なった。このほかにも、広い敷地内移動のためのパーソナルモビリティ貸し出しなど、「移動」にまつわるさまざまなツールも今回の万博の特徴だろう。

敷地内の移動ツールとなるパーソナルモビリティ
川崎重工が展示した未来型のパーソナルモビリティ「コルレオ」
スカイドライブの「空飛ぶクルマ」は今回の万博の目玉のひとつ

◆下から見ても上から見ても圧巻の「大屋根リング」

大阪・関西万博のシンボルである「大屋根リング」

 さて、今回の万博のシンボルが「大屋根リング」である。全周約2kmの円を描く木組みの構造物で、会場内のメインの動線として使われる。この輪の内側に外国のパビリオンが並び、輪の外側を国内出展のパビリオンが囲んでおり、「世界が一つになる」という万博の意義を表現しているのだそうだ。

 その構造は、神社仏閣で使われている「貫(ぬき)」という日本の伝統的な接合に、現代の技術を掛け合わせて作られている。使用されている木材は7割が国産のスギとヒノキ。残りの3割は外国産のオウシュウアカマツ。建築面積6.1万平方メートル、世界最大の木造建築物としてギネスブックにも登録されている。

 リングの下は、来場者が行き交う通路であり、風雨を避けられる滞留空間でもある。近年は猛暑になることが多いが、大屋根によって日陰をつくり避暑の空間にもなる。見上げると、縦横に無数の木組みがあり、その光景は圧巻の一言。エレベーターやエスカレーター、階段を使って最高高さ20mの屋上まで登れば、そこは幅30mの遊歩道となっている。遊歩道は思った以上に快適だし、上空から万博の開催エリア内を見渡した景色は壮観だ。メディアデーの当日はよく晴れていたので、非常に気持ちよく歩けた。個人的にはこれだけで万博に来る価値があると感じた。

大屋根リングの木組み構造は圧巻の一言
大屋根リングの上は遊歩道。気持ちの良い空間となっている

◇ ◇ ◇

 報道やSNSでは賛否両論あるのは事実。しかし実際に足を運んでみると「デジタルや先端技術によって生活はどうなるのだろう?」といった想像力を掻き立てられる展示ばかりでワクワクした、というのが正直な感想だ。今回は時間の関係もあるので住宅や不動産、都市に関する展示ばかりを集中して回ったが、不動産業界で働いている人でなくても興味深く感じる展示が多そうだ。

 10月31日の閉幕まで半年間、機会があれば一度行ってみてはいかがだろうか。私ももう一度か二度、行ってみたい。なお、スマホを使ったプログラムが多いので、モバイルバッテリーは必須アイテムだ。できれば大容量のものをお勧めしたい。(晋)

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エリアの価値向上に大きく寄与する複合開発。住宅や商業施設、公共施設、教育施設や図書館、クリニックなどが一体的に整備されることで、再開発されたエリア内で日常生活が完結できるような、利便性の高い生活環境が整うケースもありますが、その規模感の大きさから有事の際に全体が連携できるのかといった懸念も…。今回は、オフィスビル・賃貸マンション・分譲マンションの3棟からなる複合開発「MEGURO MARC」を取材。防災対策の本音を調査しました。