シロアリといえば建築物の大敵。住宅に住み着いてしまったら、知らないうちに建物が蝕まれ、建物強度が落ちてしまう。売却する段になって蟻害があれば「建物に瑕疵あり」となり、結果、契約不適合責任を負うことにもなりかねない。
そんなシロアリだが、普段目にすることもなく、何となく他人事に捉えている人も多いはず。
シロアリ防除事業を手掛ける(株)アサンテ(東京都新宿区、代表取締役社長:宮内 征氏)に、シロアリの生態等について話を聞いた。
◆春から夏にかけて羽アリとなって群飛
日本で生息が確認されている建物に害を与えるシロアリは、「ヤマトシロアリ」「イエシロアリ」「ダイコクシロアリ」「アメリカカンザイシロアリ」の4種類。うち、多く生息しているのは「ヤマトシロアリ」「イエシロアリ」の2種類だ。ヤマトシロアリはイエシロアリより寒さに強く、生息地域も北海道にまで達する。イエシロアリは北限が潮来(茨城県)と、温暖な地域を好む。いずれも湿潤な木材が“大好物”なのだという。
|
|
大きさ(体長)については、ヤマトシロアリが3.5~6.0mm、イエシロアリが3.8~6.5mm程度だそう。
しかしシロアリを普段の生活で目撃することはほとんどないはず。というのも、白くてサイズも小さく、そして住宅に巣食っているとしても、床下や壁内にいて、目にすることがないからだ。それゆえに、建物にシロアリがいたとしても、静かに被害が進行してしまう。
|
そんなシロアリだが、視認できる絶好のタイミングがある。それが春から夏にかけて、まさに今の時期だ。「新たな巣作りのために、羽アリとなり群れをつくり巣から飛び立ちます。これを“群飛”“スウォーム”と呼ぶのですが、これがシロアリを発見できるチャンスです」と語るのは、同社経営企画部の木村仁美氏。ヤマトシロアリは4~5月の昼間、イエシロアリは5~7月の夕方から夜にかけて群飛する。
※以下、スウォームの写真が登場します。苦手な方はご注意ください。

私も子供のころ、入浴中に浴室のタイルの隙間の穴から突如羽アリがぞろぞろ出てきて大騒ぎしたことを思い出したが、これだったのか…。
なお、スウォーム以外にもシロアリを発見するヒントがあるという。それは「蟻道」。読んで字のごとく、シロアリの通り道。基礎コンクリートの部分に不自然な土の道ができていたらそれは蟻道の可能性が高く、同じくその建物にシロアリが巣食っている可能性が高いという。
![]() |
|
ちなみに、シロアリは「蟻(アリ)」の仲間ではなく、ゴキブリの親戚だそう。そう聞くと、ますますシロアリ憎き、の思いが募る…。
◆専門事業者以外で駆除するのは難しい…
スウォームに遭遇したなどの場合、どのような対処したらいいのか。
「思わず殺虫剤を撒きたくなると思いますが、それはやめてください。羽アリが床下にもぐって隠れてしまうからです」(同氏)。室内であれば掃除機で吸い取る、浴室や玄関などではお湯で流すのが良いそう。
とは言っても柱や壁の隙間から大量に出てきたら、驚いてしまうし気持ち悪いだろう。その場合はテープなどでその隙間に封をするのがお勧め。
その上で、専門事業者に駆除を依頼していただきたい。自身で対応するのはかなりハードルが高いようだ。「被害があった場合にはその場所だけではなく床下全体に薬剤処理する必要があります。しかし床下は狭く、薬剤を噴霧する機器やホースなどの準備も必要。専門事業者に依頼することをおすすめします」(同氏)。
専門事業者では、シロアリの駆除と発生予防を依頼できる。また湿気対策や蟻害によりダメージを受けた建物の補強も頼める事業者もあるという。

どの事業者に依頼したらいいか分からない…という場合も多いだろう。その場合は、「全国約700社が所属する(公社)日本しろあり対策協会の会員企業に依頼するのがおすすめ」(同氏)とのことだ。
◇ ◇ ◇
少々古いデータだが、日本長期住宅メンテナンス有限責任事業組合が公表した「シロアリ被害実態調査報告書」(国土交通省補助事業、2013年3月)には、「シロアリ被害発生率は昭和30年代、40年代に比べれば低くなっているものの、ごくまれに発生するというような被害率では依然としてない」「多くは防除処理の保証期限が切れてから数年のうちに再発被害を受けてしまうのが実態」「長期優良住宅にせよそうでないにせよ、専門家による定期の床下点検を充実させるとともに、再処理を含めたメンテナンスを適切な時期に実施することが被害の再発を防ぐうえで最も重要な条件になる」と記載されている。
既存住宅の活用が進んでいる今、予防、被害の早期発見、駆除…のサイクルがますます重要になるだろう。(NO)