神奈川県伊勢原市の不動産会社、(株)めぐみ不動産コンサルティング(神奈川県伊勢原市、代表取締役:竹田恵子氏)が運営している「めぐみキッチン」。ここは常設のこども食堂という役割も担っている。レポートの後編をお送りする。
◆居住支援から「働く場の提供」までカバー
「めぐみキッチン」を運営するめぐみ不動産コンサルティングは、代表の竹田氏自身がシングルマザーとなり苦労した経験をもとに、シングルマザー向けのシェアハウスを運営。居住支援法人としてさまざまな住宅確保用配慮者の部屋探しに寄り添うほか、(一社)ワンダフルライフを立ち上げ障がい者グループホームも運営するなど、居住支援事業を幅広く展開している。そんな同社はなぜ食堂をオープンするに至ったのか? その疑問を竹田氏にぶつけたところ、「実は不動産業より先に、こども食堂をやりたいと考えていたんです」との答えだった。
まだお子さんが小さかったときに、子供の貧困について取り上げたニュースなどを見ては胸を痛めていた。「給食以外の食事はバナナ1本という子が実はたくさんいる、というニュースを見て、大変ショックを受けました」(同氏)。併せて、こども食堂の取り組みを知り、みずからやりたいとの思いがむくむくとわいたが、「自分の子供がまだ小さくて、そちらに手を出すと自分の子育てに手が回らなくなる」と、その思いに一度蓋をした。
食堂オープンにつながるもう一つのきっかけは、運営しているシングルマザーシェアハウスを卒業した人がいつでも顔を出せる場所を用意したいという思い。「職を得て自立しアパート等に転居した人が、いつでも立ち寄れる実家のような場所があったら」(同氏)。こうした思い、会社の成長、なにより同氏の実行力により、2023年7月、「めぐみキッチン」がオープンした。今では、地域の人、子供たち、シングルマザーシェアハウスを巣立った人など多くの人が集う場となっている。
◆住まいだけではなく、働ける場も提供
同社では、社会課題解決に向けさまざまな取り組みを進めてきた。めぐみ食堂のオープンより前の19年、(一社)ワンダフルライフを立ち上げ、空き家を活用し精神・知的障がい者を対象にしたグループホームの運営に着手した。これは、「知的・精神障がい者の入居に、オーナーさんはどうしても二の足を踏む。問題ないという事例があれば、オーナーさんは姿勢を変えてくれるはず」(同氏)。この思いから、自ら運営に乗り出した。空き家をグループホームにする形で、現在9施設を運営している。
その後、23年6月には、グループホームに入居する人も含めて、障害を持つ人が働ける場を提供しようと、就労継続支援B型事業所(株)ワンダフルワークスも立ち上げた。事務所でのウエスづくりなどのほか、めぐみ不動産コンサルティングの管理物件の清掃作業、めぐみ農園での農作業、めぐみキッチンでの接客等、さまざまな仕事を用意しており、就労意欲のある障害のある人、そしてシングルマザーで職を求める人に、働く場を提供している。
なお、2023年7月にオープンしためぐみキッチンはグループホームに提供する食事を調理するキッチンとしての役割も担う。
こうして同社グループの事業がうまく連携し、安心して暮らし、働き、育てることのできる環境を実現させている。
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「シングルマザーに安心して住める場所を」という熱き思いにより始まった取り組みが、今では居住支援、さらには食&職も提供する取り組みへと広がった。2026年、めぐみ不動産コンサルティングは10周年を迎える。10年間走り続けた竹田氏の熱意、バイタリティ、行動力に、改めて敬意を表したい。(NO)
※前編はこちら。
