不動産ニュース / 開発・分譲

2013/5/8

最後の同潤会アパート「上野下」解体へ/地所レジが建て替え

ついに解体される「同潤会上野下アパート」外観。空襲の被害も受けず、外観はほぼ竣工時のまま
ついに解体される「同潤会上野下アパート」外観。空襲の被害も受けず、外観はほぼ竣工時のまま
2K住戸の内部。天井高は2
2K住戸の内部。天井高は2

 三菱地所レジデンス(株)が事業協力者として参画する「同潤会上野下アパート」(東京都台東区、総戸数71戸、店舗4区画)が7日、台東区からマンション建替え円滑化法に基づく権利変換計画の認可を受けた。これを受け同社は、11日に建物を閉鎖、6月上旬から建物解体に着手する。

 同潤会アパートは、関東大震災の復興事業として1926~34年に16棟が建設された。「上野下アパート」は29年に竣工した現存する最後の同潤会アパート。地上4階建て、2棟からなる。
 住戸は、キッチン、トイレが共同のワンルーム(専有面積15平方メートル)と、浴室なしの2K(同39平方メートル)がある。建物の老朽化と設備の旧式化、地域防災の改善の観点などから建て替えが継続的に要望されてきた。だが、戦後の混乱期に居住者へ払い下げられたため権利関係が複雑だったこと、区分所有法制定以前の共同住宅のため管理組合がなかったこと等から、数度の建替計画が不調に終わっていた。

 そうした中、三菱地所レジデンスは、2011年10月事業協力者に認定され、計画の具体化、区分所有者の合意形成を行ない、12年4月に建て替え決議が成立していた。権利者は65名で、55世帯が建て替え後も居住する。
 
 建て替え後の建物は、地上14階地下1階建て、総戸数128戸(専有面積25~75平方メートル)、店舗4区画。制震構造を採用し、これまではなかったエレベーターも2基設置する。敷地東側に歩道状空地を設けるほか、防災備蓄倉庫や生活水確保のための井戸、炊き出し用かまどベンチなど居住者と地域の防災性を高める。また、高圧一括受電と太陽光発電システムを組み合わせた「ソレッコ」も採用する。販売予定は未定。建物完成は15年夏の予定。

 8日、現地で会見した同アパートマンション建替組合理事長の森瀬光毅氏は「権利関係の複雑さ等から、建替計画は進まなかったが、所有者がほとんど代替わりした今こそ建て替えのチャンスと思い、話し合いを続けてきた。この建物も、完成当時は、専業主婦同士、子供同士のコミュニティがあり、老人の孤独死などありえなかった。建物は消えるが、記憶には残る。三菱地所レジデンスには、このコミュニティを継承した素晴らしいマンションをつくってほしい」などと語った。

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